決算書ってちゃちゃっと作れないの?
薄い書類のあつい舞台裏とは?
タイトルの「あつい」は変換漏れではありません。
予想しつつ本文へどうぞ。
ちゃちゃっと 理不尽との遭遇
3月になり春が近づくと、確定申告期も終盤です。
大半の申告者にとっては、「過去」のことかもしれません。
業界関係者にとっては、3月10日を過ぎても、
確定申告期真っ只中だったりします(笑)。
税理士として商工会の税務支援に参加していると、
普段とは異なる応対とも遭遇します。
興味深い点は、応対者双方にとって理不尽
という印象がついてまわることです。
応対する双方とは、
- 事業者
- 税理士・商工会スタッフ
といった面子です。
ちゃちゃっと ゴールよりプロセス
事業をされている方では納税の義務がある
という自覚はお持ちです。
一方、経理経験や申告の知識は乏しい場合があります。
3月15日の申告期限は気にしていたものの、
具体的な処理は手つかずだったりします。
- ヤバイッ!→税理士に依頼=お金!→×!?→商工会へ
といった解決策かもしれません。
3月になり、いざ商工会にいってみると、
- 決算書ってちゃちゃっと作れないの?
とゲンナリさせられます。
応対する一方の税理士や商工会スタッフにとっては、
- なんで今になって飛び込んでくる!?
- 資料はそろっているのか? etc.
とやはりゲンナリします。
事業を始めたばかりで「白色申告」の申告であれば、
シンプルな「収支内訳書」の作成をします。
とはいえ、「シンプル」ということばには落とし穴があります。
収支内訳書の「シンプル」さは、
- 最終的にデータを記入するゴールとしての書類の形式
と限定的な範囲を対象としており、
- 決算書作成に至る経理処理のプロセスではない
という実情があります。
「白色申告」は「青色申告」よりも作成する帳簿は多くなく、
決算書で貸借対照表を作成することもありません。
その一方で、「白色申告」であっても、
- 帳簿を作成
- 取引記録の書類は7年間保存
といった義務があります。
毎年事業所得での確定申告をされている方からは、
- そんなこと知っているからこそ面倒くささがわかる
と言われそうです。
一方、申告に不案内な事業者であれば、
- 経理処理
- 決算処理
といったプロセスの知識や経験が抜け落ちています。
そんなこともあり、いざ商工会や申告会場に赴いた際、
- 口頭で決算書に記入する金額を伝えようとする
といった事態に陥ることもあります(笑)。
薄い決算書でも、裏付けのプロセスには厚さも熱量もあります。
決算書に「お好きな」数字や「ご希望」の金額を記入できません。
決算書作成の前段階ともいえる帳簿作成は、
- 効率的な作成
という要求には応えられるものの、
- 無視
- スルー
- シカト
- バックレる
というわけにはいきません。
ちゃちゃっと 脱ブラックボックス
経理処理から決算書や申告書を効率的に作成する
という選択肢はあります。
その一方、決算書や申告書といった成果だけに着目すると、
決算書や申告書さえもブラックボックス化します。
経営者・事業者が簿記の資格を取得する必要はありませんが、
経理のプロセスや考え方を知っておくことは必要です。
確定申告での「理不尽」といったもやもや感の解消は、
翌年以降も効果を発揮します。
蛇足
本文で紹介した「口頭で決算書に記入する金額を伝える」
といった事例に遭遇したことが申告会場でありました。
相談者には説明の上でお引き取りいただきました。
「クソっ」と言われましたが「上等」です(反語)。
<ご案内>
■林友範税理士事務所
■災害と税金の情報
■確定申告のご依頼も受付中!