所得税をザックリ計算する 速算表の仕組みと○○税率

処理の前にまず確認です。

所得税の税率 ○○税率とは?

「で、税金はザックリいくら?」
こうした問い合わせは、年末から冬によくあります。

所得税の確定申告では、決済や申告と色々な数字が並びます。
見慣れない上に納付が必要では、不安が増します。

税金の金額を早く知りたいのは、不安ゆえです。

所得税が厄介なのは、決算→申告という構造だけではありません。

所得税には税率が複数あるからです。

馴染みがないかもしれませんが、税率には3つの分類があります。
・比例税率
・単純累進税率
・超過累進税率

所得税に馴染みのある方だと超過累進税率はご存知かもしれません。

実務上は、申告ソフトが計算してくれるので不安はありません。

とはいえ、難解な仕組みではないので理解をおすすめします。

所得税の税率 速算表の仕組み

上記の3つの税率の内容を確認します 。

比例税率とは、単一の税率です。
所得に特定の税率だけを適用します。
所得税では使われていませんが、後述する速算表ではちょっと登場します。
なお、住民税は比例税率です。

比例税率は、非常にシンプルな仕組みになります。
その一方で、所得に応じた課税には対応しない税制度になります。

所得に応じた課税を行う仕組みとして累進税率があります。
所得が高いほど、適用される税率も高くなります。
現行の所得税制度では、超過累進税率が適用されています。

この理由は、税率が変わる境界上で逆転現象が起きないようにするためです。
たとえば、330万円まで10%、330万円以上が20%の税率の場合、
税引後の所得は、前者が297万円、後者が264万円となってしまいます。

超過累進税率の構造は以下のような図で表現できます。

所得金額の区分ごとに適用される税率が大きくなります。
上図では、青い部分が該当所得金額で計算される税額です。
オレンジの部分は、該当所得金額以前の区分で計算される税額です。

この超過累進税率制度では、速算表が準備されています。
電卓で計算する場合や、概算額を知りたいときには役立ちます。
速算表は以下の表です。

速算表の「控除額」の内訳は、比例税率で理解できます。

たとえば、所得700万円の場合。
速算表では、以下の計算で求まります。
(700万円×23%)-63.6万円=97.4万円

この控除の金額63.6万円は図で表すと以下のようになります。

速算では、一旦所得金額全体に比例税率をかけて、
その後に、各課税金額区分で適用する税率との差額分を控除額として算出して、
(比例税率でのザックリ税額)-(控除額の調整)、で税額を算出します。
(161万円-63.6万円=97.4万円)

速算表は、比例税率でのザックリした計算と超過累進制度の折り合いの産物といえます。

所得税の税率 節税モデルでもう1回

所得税の節税モデルは以前紹介しました。
(節税をモデルで理解する ちょっと抽象的がおすすめ)

ここでは、税率から再度節税を検討してみます。
所得に適用される税率が検討対象になります。

検討の対象は、会計上の経費と税務上の所得控除になります。

所得税は個人の所得の税金です。
しかし、経費や所得控除は個人だけの検討対象にとどまりません。
青色申告での専従者給与など家族単位での節税対策も立てられます。

節税対策には税率構造の理解も必要になります。 

 

蛇足
紙と電卓という処理が衰えても、速算表の考え方は依然有効です。

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