うちの確定申告はカンタンでいいんですよ、
は税理士に福音となるのか?
2月はバレンタインデーのチョコレートだけでなく、
「甘言」とも縁のある月かもしれません。
カンタンでいい!? ちょっと一呼吸
「法令違反」・「パワハラ」・「無理強い」ということばが並ぶと、
仕事としては避けたい印象です。
その一方で、「甘言」も注意が必要です。
たとえば、確定申告での依頼。
依頼者から、
- うちの確定申告はカンタンでいいですよ
と言われることが若干あります。
資料の束を突きつけた直後に、
- そんで、税金いくら?
といきなり言われるよりは、ずっとマシです(笑)。
とはいえ、「カンタンでいいですよ」ということばに出会うと、
ちょっと一呼吸が必要です。
カンタンでいい!? 見逃せない現実とルール
まず、依頼者のことばの確認です。
「カンタンでいいですよ」が誤解に基づいている可能性があります。
当事者にとってはルーティン化しているお金の管理が、
部外者にとってはわかりにくい可能性です。
- 税務会計以外の資料が混在
- 必要な資料やデータの欠落
- 過年度分の資料が混在
- 家事分が混在 etc.
さらに、商流や商習慣が不明な業界や分野の場合、
カンタンな取引でも把握に手間取ります。
依頼者にとっての「カンタン」を真に受けてしまうと、
成果の納期や結果でのギャップになります。
また、「カンタンでいいですよ」と言われた場合でも、
下記の2点は詮索せざるを得ません。
- 収入の除外
- 架空の経費
上記はいずれも利益・課税所得を減少させるので、
本来の税負担の過少化につながります。
- (収入-経費)=利益≒課税所得
- 課税所得×税率=税負担額
取引やそれに伴う決済が銀行口座経由であれば、
誤解は少なくなります。
反面、現金取引が多い場合や口座が多岐にわたると
取引の確認に時間を要します。
「カンタンでいいですよ」ということばはソフトですが、
鵜吞みにすると、はしごを外された成果になりかねません。
「カンタンでいいですよ」ということばに遭遇すると、
- プレッシャーの少なさにホッとしつつ、
- ことばの背後に注意を向けていく
という心理が税理士にはあります(とりあえず私には)。
カンタンでいい!? 順守が成果?
やんわりとした依頼での「カンタンでいいですよ」という
額面通り受け取れることもあります。
仕事のプレッシャーが下がります(笑)。
その一方で、そうした依頼での成果が
- 法令遵守
- 期日厳守
といった見方に留まると残念な印象があります。
確定申告を事業の成果の後処理とみなすこともできますが、
- 確定申告で1年間の成果を残す
といったとらえ方も可能です。
前年の成果を確定申告で確認する時期だからこそ、
経理や税務との向き合い方の見直しもできます。
蛇足
アイキャッチ画像はニホンジカの銅像です。
私の住んでいる石川県でもニホンジカは増加傾向ですが、
ご対面の機会は今のところありません。
ニホンカモシカには何度か遭遇しています。
なお、前者はシカ科、後者はウシ科です。
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