納税者に有利な選択でも見送りする!?
農地の相続と納税猶予
農地が関連するテーマは地域間での関心度が
大きく分かれます。
田舎の税理士では必須案件かもしれません(笑)。
農地と猶予 定番の相続財産?
相続の対象となる財産では、
- 現金・預金
- 生命保険
- 有価証券
- 不動産 etc.
といった定番があります。
不動産は、家(家屋)と土地に分かれます。
相続税では財産の評価により税負担額が左右されるので、
土地の財産評価に関心が集中します。
とはいえ、土地といっても実態によりアプローチが異なります。
たとえば、農地。
私の住んでいる石川県では定番の財産といえます。
都市部の地価の高い地域であれば、
- 納税資金が捻出できない
- 農業経営が続けられない
といった問題があり相続税の負担とぶつかります。
そういった事情に対応した下記の仕組みが用意されています。
- 農業相続人が農地等を相続した場合の納税猶予の特例
「免除」や「軽減」ではありませんが、税負担の回避となるため
相続時には検討対象となります。
農地と猶予 有利な選択といえるのか?
農地等を相続した場合の納税猶予の特例では、
- (本来の税額)-(農業投資価格による税額)=猶予税額
といった計算を抑えておくことになります。
「本来の税額」と「農業投資価格による税額」の差が大きいほど
猶予による効果が大きくなります。
相続人が農業経営者や納税資金に不安を感じる場合には
シミュレーションの対象となります。
その一方で、猶予の対象となる税額次第では下記の制約が
相続人(納税者)にとって負担になるかもしれません。
- 3年ごとの継続届出の提出
- 売却による猶予の打ち切り
農地にかかる相続税の猶予を継続するための条件として、
相続以降も税務署への継続届出が3年ごとに必要です。
営農継続要件も強化されています。
「終身」という文言が猶予の効果と届出の負担を印象付けます。
また、猶予の対象となっている農地を売却すると、
猶予の効果がなくなるだけでなく「利子税」も加わります。
相続手続き以降の負担や制約を想定していない場合には、
不意打ちともいえる税金の負担が突きつけられます。
農地と猶予 基本に立ち返る
農地にかかる相続税の猶予は農地の相続があるのであれば、
検討対象となります。
ただし、猶予の効果や制約の仕組みを相続人理解して、
長期にわたって管理していくことが利用の前提でもあります。
猶予の制度の利用にあたっては、
- 税理士
- 農業委員会
との相談がおすすめです。
適用の判断や検討事項が多々あるので留意が必要です。
農地にかかる相続税の猶予の制度が、
- 農地の財産評価と納税資金のアンバランス
- 農業経営の持続
といった趣旨であることを理解しておくと見通しが良くなります。
相続開始移行でも検討や対応できることはありますが、
生前からの検討・対策がおすすめです。
蛇足
田舎の農地ではお金に関連した問題だけでなく、
「害獣」被害も続いています。
私の実家(石川県加賀地方)でもハクビシンなどが
定住しています。
野菜のおいしい時期を逃さないようです。
今週のスタエフ
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