イエを継ぐと相続は一致するだろうか?
誤解の無い相続対策
同じことばを違う意味で使っていることがあります。
すぐに気づくか、数十年後にズレに気づくか!?
継ぐと相続 ○○家の会場案内
葬式のスタイルも年々変化があります。
私が子供の頃、昭和の末期までは町内のお寺で
執り行われていました。
最近では葬祭会館の利用が一般的です。
私が住んでいる石川県加賀地方でも家族葬専用
といった施設が増えています。
それほど変化がないのは会場案内。
葬儀会場に誘導する立て看板では、
- 「○○家葬儀式場」
といった案内がみられます。
地域により事情は異なるかもしれませんが、
故人の名前より「家」が目立ちます。
葬儀を取り仕切る家族・親族、参列する方にとっては
違和感の無い表示です。
一方、「相続」目線では注意が必要です。
継ぐと相続 イエを継ぐ!?
かつて大戦前であれば「家督」といった考え方や
仕組みが実効性をもっていました。
財産の管理・処分を行う権限と戸主としての地位が一致し、
基本的に長男が該当者となっていました。
「イエ」を継ぐといった場合、ザックリ言えば
- 「家」といった財産
- 戸主という地位や立場
という相続の対象が一致していたともいえます。
現在の制度では「家督」も「戸主(権)」もありません。
被相続人に対して相続人の関係はフラットになった
ともいえます。
法定相続分や遺留分侵害請求権の仕組みからも明らかです。
反面、相続のご相談では、
- 「イエ」を守り継いでほしい
と希望される高齢の方も珍しくありません。
財産だけではない、心情的な面からも抽象度の高い
意図が感じられます。
「事業承継」に限らず「相続」と「承継」が
「イエ」でつながることもあります。
相続人(候補)とことばの平仄があっているか、
といった問題があります。
継ぐと相続 ことばの裏側
全国的に空き家が増えています。
相続人にとって住む予定がないのであれば、
モノとしての「家」には、
- 貸し出し
- 売却
- 撤去
といった選択に合理性があります。
土地については「相続土地国庫帰属制度」による放棄も
選択肢となります。
相続人にとっての財産処分の選択肢はあります。
他方、被相続人との間での心情面での折り合い次第では、
選択の先送りにもなります。
相続を巡っては被相続人と相続人との間での
ことばの裏側にある意図にも留意が必要です。
蛇足
地方紙の定番コンテンツに「おくやみ」があります。
諸般の事情で掲載されないご遺族もおられれば、
葬儀「終了」の表示も増えています。
家族葬の増加とも関連しているかもしれません。
不義理にならない折り合いのつけ方も
考えていく必要があります。
私は参列しない場合、「弔電」を使用しています。
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