簿記の勉強が経理の邪魔をする?
仕組みと現実の処理でギャップを埋めておく!
知識や理解は本来プラスの効果が期待できます。
ただし、「本来」に含まれる前提や思い込みによっては
マイナスになることもあります。
ギャップを埋めておけば安心です。
勉強が邪魔 好きになれない作業
今でこそ税理士をしていますが、簿記の勉強は嫌いでした(笑)。
複式簿記の仕組みや構造は興味深かったのですが、
- 仕訳の記述
- 金額を電卓で集計
- 仕訳や集計からの転記
といった作業が苦手でした。
私は簿記の勉強に限らず手先・指先を使った作業が得意ではないので、
筆記や電卓での作業の連続は苦行だったわけです。
そんなわけで試験では苦戦しました。
理解を優先すべき!、という正論が試験では通らなかったりします(笑)。
一方、それでも仕事はなんとかなるだろうという目算がありました。
勉強で要求される作業と実務上の処理の違いを知っていたからです。
勉強が邪魔 現実にはしない作業
インストール型の会計ソフトであれ、クラウド会計ソフトであれ、
現状の経理処理・帳簿作成はパソコンで行います。
ことばを補うと、
- 仕訳を書き出すことはない
- 電卓で集計することはない
- 転記といった作業は行わない
- 一度の入力で仕訳・試算表・元帳を作成
といった現実の処理の環境があります。
また、処理の状況も固定的ではなく、
- 勘定科目の追加
- 補助科目の設定や追加
- サーチキー等の利用による入力
- 定型仕訳の登録の利用
- データの取り込み
- Excelとインポート・エクスポートで連携
といった拡張的で可変的な運用がなされています。
簿記の勉強は本来であれば、
- 複式簿記の仕組みの理解
- 複式簿記による経営の把握
といったことを目標にしますが、
- 筆記・電卓・紙の帳簿での作業
という付随する課題に引きずられがちです。
簿記の試験勉強では、理解と作業がのしかかるわけです。
試験勉強での作業面での苦い記憶が強かったりすると、
かえって経理処理が億劫になりかねません。
簿記の資格や試験勉強が必要な場合は仕方ありませんが、
簿記の勉強と実務とのギャップは知っておく必要があります。
簿記の勉強でギクシャクしていても、現実の処理はスムーズ
だったりもします。
勉強が邪魔 作業の向こう側
経理の処理・帳簿の作成目的がある税務申告だけであれば、
経理の丸投げといった選択肢になります。
一方で、経理の処理を通じて、
- 経営の状況を把握する
- 経営の管理を数字で裏付ける
- 事業での成果を残していく
といった積極的な選択をする場合には簿記の理解が必須です。
筆記や電卓での集計の作業の習熟が経理の前提になっていると、
期待できる成果が遠のきます、
簿記の理解は必要です。
会計ソフトの運用の習熟や効率化は必要な範囲に留めつつ、
入力データの集計や転記の仕組みは理解しておきたいポイントです。
簿記の学習の「作業(苦行?)」が経理で得られる効果の邪魔
となることがあります。
実践やアウトプットがそうした邪魔を取り除いてくれます。
税理士によるサポートやガイドもおすすめです。
蛇足
経理「作業」は入力・集計・転記に集約されますが、
- どの資料やデータを
- どのような根拠で
- 経営の分析や消費税も織り込み
「処理」を進めることが重要です。
入力以前の段階からの検討も必要になります。
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