売上と売掛金の管理の違いとは?
共通すべき処理からアプローチする!
同じでしょ!?、と言いたいところです(笑)。
関連している対象なので、ことばの綾程度の違い
といった印象になりそうです。
会計を切り口にするとわかりやすくなります。
売上と売掛金 ことばの綾?
ちょっとしたことばの使い方でも気になることがあります。
好みの問題ではなく、利害を混同・誤解してしまうこともあり
放っておけないためです。
たとえば、「請求」や「請求書」。
請求するのか、請求されているのか、売上の請求書か、支払いの請求書か?
入出金が正反対になるので要確認です。
あるいは、「売上」と「売掛金」。
経営上、どちらも要管理の対象です。
取引の一連で登場する勘定科目であり、別物ではありません。
とはいえ、「管理」という面では違いがあります。
売上と売掛金 会計上の違いとは?
「売上」と「売掛金」の違いは複式簿記の処理から
アプローチするとわかりやすくなります。
売上と売掛金が関連したシンプルな取引は以下のとおりです。
- 売上請求時 (借方)売掛金 (貸方)売上
- 売上入金時 (借方)お金 (貸方)売掛金
売上を請求していった金額は、
- 「損益計算書」の売上
- 1年間の合計額であるフローのデータ
として計上され、同時に、
- 「貸借対照表」資産の売掛金
- 決算日時点での売掛金残高のストックのデータ
としても計上されます。
なんだか急激に理解が難しくなった印象です(笑)。
図解してみると整理ができます。
「売掛金」は売上により増加して、回収により減少します。
取引ごと・取引事業者ごとの売掛金の管理ができていないと、
売上があっても入金の不足による「黒字倒産」につながります。
また、入金の金額や時期を適切に管理していないと、
- 入金額の誤り
- 売掛金と前受金の混同
といった取引先とのトラブルにもなるので注意が必要です。
他方、「売上」の管理は売掛金とは異なります。
- 商品・サービス別
- 支店や担当者、販売チャネル別
- 季節ごと
- 移動年計
- 過年度・計画・実績の比較
といった分析の対象となります。
損益計算書の売上の合計額ではなく、データを分解・比較します。
会計ソフトも利用しますが、Excelなどの他のアプリや
AIによる分析対象にもなります。
売上と売掛金 共通すべきアプローチとは?
売上を管理するも、売掛金を管理するも同じようなもの
といった印象があるかもしれません。
取引には連なりがあるので、無理解とは言えんません。
ただし、経営の管理という視点では処理は分かれます。
処理の効率化は大切ですが、両者の科目の違いが理解できていないと
何を・どんな目的で扱っているかを見失います。
売上と売掛金の管理の違いを確認しおく必要があります。
同時に、両者は適切な会計処理、
- 適宜(タイムリー)
- 発生・実現主義
- 取引ごとの対応
といった共通した裏付けでこそ管理できます。
売上と売掛金の違いとともに共通する会計処理がわかっていると、
効率的な処理と理解が同時に進むのでおすすめです。
蛇足
アイキャッチ画像はうなぎの蒲焼きです。
この記事の投稿日2024年(令和6年)7月24日は土用の丑の日です。
画像はその数日前のものです。
いつ食べても美味しさは変わりませんね(笑)。
<ご案内>
■林友範税理士事務所
■災害と税金の情報
■確定申告のご依頼も受付中!