勘定科目はマイナス残高になっていませんか?
資産はプラスで負債はマイナスは誤解です!

うっかり熱いお湯に触れると反射的に手を引っ込めるはずです。

会計帳簿での「マイナス残高」でもそうした反応があれば、
残念な会計処理は防げます。

ピンとこない方はご一読ください。

美味しそうにみえる?

負債もプラス 勢いをくじく残高確認

確定申告は2月から3月の印象が強いかもしれません。

受付期間としては毎年2月16日から3月15日が定番です。

とはいえ、準備や処理は1月に進めているはずです(よね?)。

私がサポートしているお客様も帳簿の作成や決算処理が
佳境を迎えています。

帳簿の確認、残高試算表の確認では損益状態だけでなく、
貸借科目の残高も必ず確認します。

会計処理では定番・必須・マストの過程です。

一方で、お客様にとっては処理の勢いをくじく過程
といった印象があるようです。

原因は「マイナス残高」が発生していたときの確認です。

負債もプラス 資産はプラスで負債はマイナスの誤解

会計処理、とくに複式簿記は難しい印象があります。

取引を「仕訳」といった形式で「借方」・「貸方」双方に
勘定科目でデータを投入していきます。
 (「大人の教養簿記 ひみつきち発信」で検索)

見慣れない形式と勘定科目、さらに資産・負債・収益・費用
といったカテゴリーが処理の背景にあります。

処理が複層的なのでアタマがパンクしそうになります。

勘定科目の残高が「マイナス残高」でも簿記の処理のためか?
と誤解しかねません。

誤解です。勘定科目の残高はマイナス残高にはなりません

資産の勘定科目であれ、負債の勘定科目であっても残高はプラスです。

「資産」は現金や預金のお金だけでなく、売掛金や棚卸資産、
固定資産などお金になりうる対象です。

「資産」科目がプラス残高であることは直感的に理解できます。

一方、「負債」は将来の支払いの対象である借入金や買掛金であり、
直感的にはマイナスの印象です。

ただし、勘定科目の残高としては将来の負担があることを
プラス残高で計上することになります。

たとえば、100万円を借入れたときの仕訳。

  • (借方)預金資産プラス 100万 (貸方)借入金負債プラス 100万円

「資産」も「負債」も残高はプラスとなります。

  • 預金 100万円
  • 借入金 100万円

負債もプラス マイナスは仕訳の処理

複式簿記の仕訳がわかりにくい理由の一つに、

  • マイナスの処理がパッと見はわかりにくい

といったことがあげられます。

たとえば、借入金の返済。10万円を返済したとき。

  • (借方)借入金負債マイナス 10万円 (貸方)預金資産マイナス 10万円

上記の仕訳を借入の処理と合計すると、残高は以下の通りです。

  • 預金 90万円(=100万円ー10万円)
  • 借入金 90万円(=100万円ー10万円)

複式簿記の仕訳の処理にはあからさまなマイナス表記は出てきません。

資産や負債といったカテゴリーを定位置とする各勘定科目に対して、
仕訳の処理を通じで増減させることになります。

仕訳の処理の結果は基本的にはプラス残高となります。

マイナス残高となっている場合には、

  • 二重仕訳
  • 処理の漏れ
  • 入力ミス

といった原因の特定と適正な処理の追加が必要です。

マイナス残高を発見したときにはマイナスになったときの処理を確認します。

処理の誤解が解決できれば、会計への理解が深まります

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蛇足
アイキャッチ画像は散歩中にみかけたユズリハです。
ブルーベリーのような実がついていますが、毒があるそうです。
直感的には美味しそうなので残念です(笑)。

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