寄附は本人にも家族にも影響します!?
不当寄附勧誘防止法がスタート!
「寸志」や「志」では済まない金額が動くと
影響が及ぶ範囲は広がります。
高齢化社会と相続が関連する可能性もあるので
今後留意していくことが増えるテーマです。
法律が関連するので「寄附」と表記しています。
不当寄附!? オモテとウラ?
モノやサービスの対価としてお金がやりとりされます。
対価性がない、見返りを求めないお金のやりとりは例外です。
ただし、「例外」にネガティブな意味はありません。
たとえば、「寄附」。
災害発生後に復旧復興に向けたなかでの寄附は
被災者にとってプラスです。
2023年(令和5年)5月5日能登地方で震度6強の地震があり、
人的・物的被害が発生しました。
その後の3日間で「ふるさと納税」を通じて、
- 272件
- 474万2千円
といった寄附がありました。
(5月8日北國新聞)
76万1千円分の寄附では返礼を辞退する意向も
示されていたそうです。
一方で、消費者庁より「寄附の不当勧誘に係る情報の受付状況」が示されました。
寄附のオモテとウラが時を同じくして表出したわけです。
不当寄附!? 不当寄附勧誘防止法スタート!
令和5年4月より「法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律」、
- 通称「不当寄附勧誘防止法」
が本格的にスタートしました。
2022年に宗教団体への寄附が遠因ともいえる事件があり、
成立した背景があります。
不当な寄附を禁止して、不当な寄附や勧誘から個人を保護する
趣旨の法律です。
不当寄附勧誘防止法のポイントは以下の項目です。
- 寄附の勧誘に関する規制等
- 違反に対する行政措置・罰則
- 寄附の意思表示の取り消し
- 債権者代位権の行使に関する特例
- 関係機関による支援等
詳細な条文や逐条解説はウェブで確認できます。
(「不当寄附勧誘防止法 消費者庁」で検索)
法律の成立背景や制度趣旨がわかっていると、
理解は難しくなさそうです。
とはいえ、「4.債権者代位権の行使に関する特例」は
ピンとこない印象です。
ザックリ言ってしまえば、
- 家族の扶養に支障となる不当な寄附の取消
に対応した仕組みです。
個人の財産の処分である寄附とはいっても、
家族に及ぶ影響が織り込まれています。
不当寄附!? 相続問題!?
寄附行為の性格上、オモテとウラがあります。
さらに寄附額が多額となり、個人の財産処分とはいえ、
家族にまで問題が波及する可能性もあります。
相続財産から相続人以外におくる「遺贈」があります。
遺言書に寄附の意思を明示することで行われます。
お亡くなりになった方の意思表示の一端として
尊重される行為ではあります。
一方で、相続人にとっては相続する財産に影響する
という側面もあります。
生前の寄附であれ、相続開始後の寄附であっても、
多額の寄附には家族にも及ぼす影響があります。
生前からの相続対策として遺言書を作成する場合であれば、
相続人への影響も検討対象となります。
蛇足
2023年4月金沢市の著名な経営者の遺族が
寄附は無効と医療法人を提訴しました。
無効とされている寄附額は3億円です。
高齢の経営者が認知症を患っていた
という主張もされています。
相続と寄附では認知症も無視できません。
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