複式簿記を使わない経理を教えてください
シンプルな回答と戸惑う運用
一般的には複式簿記は取り扱い困難な仕組みです。
一方で、複式簿記しか使っていない状況が続くと、
他の経理方法での管理が不思議にみえてきます。
簿記レス経理 自然だけど不自然
「KISS(Keep It Simple ,Stupid)」といった考え方があります。
- 馬鹿だな、シンプルにやれよ!
といった教訓とも言えます。
物事を複雑にとらえすぎて失敗することへのアンチテーゼです。
直感的にはわかりやすいことばです。
一方で、現状私が従事している税理士業ではKISSに逆らっている面があります。
代表的な例が「複式簿記」。
売上の入金といったシンプルな処理でさえ、
- (借方)お金 (貸方)売上
といった「仕訳」で表現しています。
税理士であれば経理処理は複式簿記一択が自然ですが、
一般的には不自然な処理の連続です。
簿記レス経理 単式でもできる!?
複式簿記を使わない経理処理は可能です。
いわゆる「単式簿記」になります。
一般的な見解をChatGPTに尋ねてみました。
やや気の進まないChatGPTですが(笑)、無難な回答が返ってきました。
収入や支出の記録と集計を行う損益計算を軸にしている回答です。
事業の継続性を考慮しており、資金繰りにも目配せしています。
さらに定期的な処理を促しており(笑)、模範的な回答です。
追加の質問をしてみました。
複式簿記を使わない「売掛金」の管理についても尋ねました。
気乗りしないChatGPTですが(笑)、回答は的を射ています。
複式簿記を使わないという視点では違和感のない回答です。
一方で、会計ソフトで複式簿記での処理を前提とすると、
ギクシャクした印象を受ける内容です。
複式簿記を使わない売掛金の管理では売掛金を対象にして、
- 転記
- 集計
といった処理が別途必要です。
手書きであれ、Excelを利用する場合であれ二度手間となります。
上記の売掛金の管理は一例であって、
- 棚卸資産
- 買掛金
- 預り金
- 借入金 etc
といった貸借科目の管理でみられる問題です。
簿記レス経理 割り切る?、打ち切る?
事業規模が小さく、経理処理の目的が税務申告を優先であるならば、
複式簿記を使わない経理処理も選択肢の一つです。
シンプルな処理を事業者で行えます。
一方、取引規模が大きくなり、損益計算だけではなく、
貸借科目の管理が重要になると判断の分かれ目です。
複式簿記を使わずに経理処理を行うことは出来ますが、
- 転記
- 集計
- 勘定科目ごとの管理
といった非効率性を抱え続けることにもなります。
非効率も経営の負担の一環という割り切り方もありますが、
経営資源の配分の見直しがおすすめです。
従来の処理方法を打ち切る選択をすることで、
もっとシンプルな解決が見出だせる成果があります。
蛇足
架空の対話は長らく一部の作家だけが扱うテーマでした。
AIの台頭のおかげで、想像力や文章力がなくとも、
そうしたテーマが扱えるようになってきました。
今週のスタエフ
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