貸借対照表を実用性からとらえ直す!
この取引ってどこに計上するの?

しょうがないから作るか、必要性を感じて作るのか?
印象はガラッと変わるはずです。

「たいしゃくたいしょうひょう」の実用性からアプローチ。

とらえた季節感(イオンモール白山 石川県白山市)

BS実用性 おまけかオプションサービスか?

メールでのやりとりとと対面での応対の違いを感じるのは、
ちょっとしたことばの端から関心の強弱がわかる点です。

いわゆる食いつきの良いこととスルーしがちなことの違いです。

税務会計では、損益計算書の利益や申告書の税額は関心が強く、
一方で、「貸借対照表」はサラッと確認だったりします。

「貸借対照表(Balance Sheet BS)」は利益や税額と直接つながらないので、
おまけかオプションかといった印象が強いかもしれません。

税理士の仕事「やってる感」の産物という誤解さえありそうです。

誤解です(笑)。

実用性の観点からBSをとらえ直してみることがおすすめです。

BS実用性 形から入ってみる

BSは売上・経費・利益が計上される損益計算書に比べて抽象的
と思われがちです。

ちょっとした誤解です。

BSの形からシンプルに眺めてみると、グッと身近に感じられるはずです。

まず、左側(借方)の「資産」と右側(貸方)の「負債」の位置を確認します。

次に「資産」と「負債」の直感的な例を確認します。

「資産」のままでは抽象的ですが、

  • 支払いに使える‐現金・預金
  • 請求できる‐売掛金・未収金・貸付金
  • 売上に貢献する‐固定資産

とザックリとした性格を知っていれば具体的にとらえられます。

「負債」は資産よりピンとくるかもしれません(笑)。

  • 借入の残高‐借入金
  • 支払いの請求を受けている‐買掛金・未払金

見逃せないのは下記の点です。

  • 貸借対照表のためだけの経理処理はなく、
  • 損益計算書と同時並行して作成され、
  • 事業での取引全体が網羅される

BS実用性 これってどこに計上するの?

経理処理の問い合わせでは、「勘定科目」を何に決めるか?
といった問題がよくあります。

たとえば、クラウドストレージをサブスクで支払った場合。

一般的には「支払手数料」での計上が妥当といえますが、
通信費や雑費での計上が誤りとも言えません。

継続して同一の科目や補助科目で計上・管理していれば、
利益や税額での違いはありません。

一方で、損益計算と関連しないように思える取引もあります。

  • 同業者の組合に出資した
  • 取引先に保証金を差し入れた
  • お客様から予約段階で入金していただいた
  • 従業員の給与から天引きした分の源泉所得税 etc

損益計算、売上と経費の集計にばかり着目してしまうと、
上記は別途資料作成の対象となります。

資料が増えれば、管理の負担が増えます。

上記の処理は下記の仕訳で表現できます。

  • (借方)出資金資産プラス (貸方)お金資産マイナス
  • (借方)差入保証金資産プラス (貸方)お金資産マイナス
  • (借方)お金資産プラス (貸方)前受金負債プラス
  • (借方)給与費用プラス (貸方)預り金負債プラス

会計ソフトを使っていれば、自動的に各勘定科目のデータである
総勘定元帳に転記・集計されます。

BSに計上された金額は経営の管理上も有効なデータとなります

たとえば、上記の予約販売の場合。

予約段階での入金後に売上が成立した時点で、

  • (借方)前受金負債マイナス (貸方)売上収益プラス

といった処理を通じて損益計算ともつながります。

貸借対照表は損益計算書の影に隠れがちですが、一体としてとらえる決算書です。

貸借対照表を経営管理の実用性からとらえ直すことがおすすめです。

 

蛇足
アイキャッチ画像はクリスマスツリーです。
12月らしさのアイコンですね。
大きすぎるので上階から撮影しました。

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