未納はありません ホッとしたいところですが

普段ならスルーしてしまうかもしれないんですが。

未納はありません とある問い合わせ

かつて、とあるお客様の源泉徴収をめぐって税務署から照会を受けたことがあります。

照会の内容や金額については問題ありませんでした。

若干気になったのは、税務署の方が使ったことばでした。

そのことばとは、「(源泉徴収の)未納はありません」でした。

特段問題がなかったので、こちらからはそれ以上何もいいませんでしたが、印象に残ったことばです。

税務署にとっては、法律に則った適正な金額が納付されているかどうかが問題になります。

言い換えれば、未納という状態がアラームの発生要因というわけです。

未納はありません 適正では不十分

税務署とは異なり、会計事務所のサービスでは未納という状態よりも、それ以外のサービスの適用が気がかりになります。

仮に、お客様の納付状況が未納ではなかったとしても、本来できるはずだったサービスができていなかった場合には、不十分ということになります。

適正ということばをもう少し分解したほうが良さそうです。

税務会計サービスの適正は、税金の漏れや間違いといった正確さだけではなく、節税やお金を残すための措置を検討しておくことにもあります。

個人所得税の確定申告での税額が適正に計算できていても、節税や資金繰りや高齢期への備えへの対策が充分検討されていたかは申告書だけではわからないこともあります。

見方を変えれば、同じ税金をめぐる話をしていても、税務署と会計事務所では違う焦点や射程、視野でとらえています。

未納はありません 悪くはないでは足りない

こういった同じことばを違う意味で使っている時ときや理解しているときに気をつけたいのは、当事者の意思です。

上記でも書いているように、税務署と会計事務所の人間だけならば大きな誤解はなく理解できるかもしれません。

しかし、最も重要な当事者でもあるお客様(=納税者)にとっては、混乱や不透明な状態かもしれません。
(面倒は会計事務所や税理士にお任せというケースもよくありますが)

大きなトラブルにはならなくても、使っていることばの意味を確認しておくことは、処理に関わる トラブルを回避するために必要です。

「未納はありません」と税務署から告げられるとホッとしますが、会計事務所のサービスでの視点や視野は別物と割り切るべきです。 

 

蛇足
「控除(こうじょ)」のように用語自体が難しいことばは、反応しやすいのですが、知っていることばはスルーしがちです。

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