資料回収だけの税理士業務をしない理由とは?
効率性やコスト以外の選択基準とは?
それも選択の一つと割り切れることもありますが、
私が避けている業務があります。
仕事でのズレは非効率やコスト問題以上の解決課題です。
回収だけ? スルーでギクシャク?
税理士事務所に勤務していたときに資料の「回収」だけ
にお客様を訪問することがありました。
お客様先を訪問すると、所定の位置に定番の書類一式があり、
挨拶もそこそこに資料を回収してそそくさと退散。
事務所に戻り、会計ソフトに資料を元に入力。完了。
典型的な「記帳代行」業務といえます。
勤務先が提供しているサービスであり、お客様の要望と合致しており、
一見すると良好な取引でした。
一方、当時の業務担当者であった私には業務上はやりすごしつつも
ギクシャクした違和感が残りました。
お客様側での不満や不安・課題はちらほら察知できます。
- 資金繰りの状況が悪い
- 違和感のある手形取引がある
- 営業面での不満がみられる etc
上記の問題は税理士(事務所)が解決できるとは限りません。
とはいえ、上記の問題を放置していて自然に解決は希望的観測です。
回収だけ? あれもこれもと組み換えの面談
私は税理士業でお客様先を訪問する前には、
- 前回面談時の記録
- 当日の予定
- 今後の課題
といった確認をしています。
訪問前にもやもやとした不安を感じる対象は「今後の課題」
ということがよくあります。
事業経営のお客様でも相続税申告のお客様であっても、
お金と税金では定番の課題があります。
税理士側にとっては想定問題となります。
たとえば、2023年(令和5年)10月以降では、
- 請求書のインボイス対応はスムーズに済んでいるか?
- 取引先でインボイス対応を渋る事業者はいないか?
といった課題が懸念事項となります。
実際に訪問して確認してみると、
- 請求書発行システムの更新が円滑に完了
- 取引先はインボイス対応済み
と拍子抜けする状況だったりする一方で、
- 会計ソフトの「課税区分」がカオス化している!
とお客様から想定外の不安が知らされたりします(笑)。
あるいは銀行からの借入。
- 年配の経営者;無借金経営貫徹!
- 若手の経営者:低金利積極利用!
といった想定をしがちでしたが、逆のケースもあります(笑)。
資料回収だけでの割り切った業務だけでわからない面が多々出てきます。
税理士が想定した問題を現状に合わせて組み替えていかないと、
適切なサポートにはなりません。
回収だけ? 取り組む課題に作っていく
リアルの対面であれ、ZOOMの利用のオンライン面談であれ、
解決していく課題を見出す機会が必要です。
お客様の抱えている疑問や不安や負担は多々あるだけでなく、
- 誰に尋ねるのか?
- どのように尋ねるのか?
- 問題の重要性はどれほどか?
と未分化状態でもあります。
税理士は基本的に税務会計分野でのサポートを担いますが、
- 雇用
- 借入
- 相続 etc
と関連している問題とも関わります。
また、課題が他の専門家(社労士・司法書士・弁護士等)の領域であれば、
早い段階での切り分けもできます。
仕事を進める上で効率性やコストは見逃せません。
税理士への限定的な業務の依頼で割り切る選択肢もありますが、
かえって課題の先送りが増えるかもしれません。
税務会計を起点に税理士からのサポートに期待する選択肢もあります。
混沌とした問題を取り組んで解決できる課題に作っていくために
時間をかけていくことがおすすめです。
蛇足
アイキャッチ画像のお菓子「宝達」は宝達山(石川県宝達志水町)が由来です。
江戸時代は金山だったそうです。
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