税務申告書はライブで作成する!?の誤解
余裕を作るための時間感覚
税務申告は行政上の書面での手続きのイメージです。
間違いとは言えませんが、誤解が先走りがちだっ利します。
時間間隔の調整のおすすめです。
申告書ライブ 例外が一般化?
税理士業の代表的な業務に申告書の作成があります。
所得税・法人税・消費税・相続税・贈与税は「申告税」なので、
税額やその根拠を示す申告書の作成が必要になります。
固定資産税や自動車税のような「賦課税」と異なる点です。
申告税では確定申告期の所得税が代表的です。
毎年、2月には申告相談会場の光景が報道されています。
相談会に参加している税理士の前に相談者である納税者が座り、
申告書が作成されていきます。
私も市役所の相談会場に毎年参加しています。
1人当たり30分で申告手続きを完了していきます。
例年、全国各地で見られる光景ですが、申告書の作成では例外
といえる時間感覚といえます。
確定申告期の相談会場での所得税の申告書作成は、
極度に短時間での対応と言える例外です。
申告書ライブ 要準備と要検討
確定申告期の相談会場での申告手続きは、
- 所得税のみを対象
- 給与所得や年金などの雑所得に限定
- 必要書類を持参
といった条件で時短化が可能となっています。
所得税といっても、「事業」所得や消費税の処理がある場合、
- 帳簿の作成
- 決算書の作成
- 消費税の処理の確認
と申告書作成以前の準備がグッと増えます。
帳簿の作成や決算処理の割合が申告処理の全体の90%以上!
という想定が妥当です。
法人税での処理も事業所得と同様、それ以上に時間を要します。
相続税には簿記を利用して作成する帳簿の作成はありません。
一方で、準備する資料は、
- 被相続人と相続人の戸籍等
- 申告書
- 相続財産の「評価」
- 遺産分割協議書 etc
と相続税申告特有の準備が多々あります。
相続財産、とくに土地や建物といった不動産は申告のために
「評価」の過程があります。
減額を含めて評価次第で税負担額が左右されるので、
調査や検証が必要です。
非上場株式があれば評価だけでなく、事業経営とも関連する財産です。
相続税申告にとどまらない対策の対象になります。
相続税は配偶者の税額軽減や小規模宅地の特例といった
税負担軽減の措置があります。
利用を見逃せないのですが、遺産分割協議書の添付が必須です。
相続人の同意を書面で作成する必要があります。
とりあえず申告書さえ用意すれば申告できるとは言えません。
申告書ライブ 作成・申告だけが目的か?
所得税・法人税・消費税では決算日から2か月以内、
相続税は相続開始より10か月以内に申告します。
一見すると時間の余裕があるように感じられます。
事業での申告では、帳簿の作成が適宜行われており、
検討が済んでいれば早期に申告できます。
相続税であれば、分割対象の財産の把握や評価とともに
相続人間での協議次第で申告が達成できます。
申告の期限は納税者全体に公平に決められています。
他方、準備や検討の時間的な余裕は納税者・当事者次第です。
事業でも相続税でも、申告税では
- 納税者にとって有利な選択肢があり、
- 申告に際して検討や検証が無視できず、
- 根拠や裏付けを準備する必要がある
といった共通点があります。
1件当たり30分で手続きが完了できるものではありません。
利用できるはずの時間を有効に扱う時間感覚が必要です。
準備を整えてからではなく、税務申告の準備段階から
税理士のサポートが有効となります。
蛇足
アイキャッチ画像はベランダに舞い込んだセミです。
やけに騒がしいと覗いてみたところ、セミが仰向けになっていました。
ひっくり返してやると、さっさと飛び去っていきました
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