貸借対照表とは 見られる視点から理解する

敷居を低くしたいのです。

中身はどんなあんこか?

貸借対照表 あらためて中身を紹介

決算書の主役の貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)をあらためて中身を紹介します。

貸借対照表とは、事業主体(会社など)の一時点の資産・負債・純資産といった財政状態を表した書類です。
一時点は個人なら12月31日ですし、会社などは決算日です(3月決算なら3月31日)。
右側の貸方(かしかた)には負債・純資産というお金の出所(調達先)が出てきます。
(買掛金や預り金という負債も支払いや納付が完了するまでは、お金を調達していると言えます)
左側の借方(かりかた)には資産として、調達されたお金の一時点での姿がでます。
資産と負債・純資産の左右の合計額がつりあう仕組みなので、貸借対照表はバランスシートとも呼ばれます。

貸借対照表 誰の視点が絡むのか

貸借対照表とW主演ともいえる損益計算書は売上や費用、利益が出てくるので、経営をされる方に最も注目されます。

損益計算書は経営者だけではなく、税金の計算上税務署、貸付金の回収のため金融機関も関心を持ちます。

簿記というより広い意味での会計を勉強すると、財務諸表は利害関係者への報告を目的とするという内容を目にしますが、損益計算書に関しては事業の継続を知る点で直感的に納得がいきます。

これに対して、貸借対照表は損益計算書のように直感的な必要性が分かりにくい面があります。
とくに経営者の方にとっては、現金預金以外の情報を決算処理という時間と労力をかけてわざわざ作成する根拠がわかりにくいかもしれません。
(言い換えると、税理士は税金の計算で何をごちゃごちゃやってんだろと疑問をもたれるかもしれません)

視点を変えて貸借対照表の必要性というよりも、複式簿記を導入することで貸借対照表が登場する必然性を理解する方がわかりやすいのです。
たとえば売上100万円があったとして、現金か手形か、掛け売りか、それとも納品以前に前受金を受け取っていたかで会計上の表現(仕訳)は異なります。
(それぞれ現金/売上、受取手形/売上、売掛金/売上、前受金/売上)
また、お金100万円が口座に入ってきたときにも、手形の決済か、売掛金の入金か、前受金かで仕訳は異なります。
(お金/受取手形、お金/売掛金、お金/前受金)
売上という一定期間の金額が、決算時点ですでにお金となっているか、これからお金となる受取手形や売掛金かは損益計算書だけでは不明とも言えます。

継続することが前提の事業活動では取引は次から次へと連続です。
取引を仕訳という複式簿記での形式に変換することで、取引の過程や結果をたどることができます。

経営者のためだけでなく、税金や借入金でのお金の動きを説明、あえて硬く表現すると疎明(そめい)性を高めることにもつながります。

貸借対照表 節税はおまけ

フリーランス・個人事業主の方は確定申告で青色申告控除の選択肢が2つあります。
損益計算書だけを作成する10万円控除と貸借対照表も作成する65万円控除です。

どちらを選ぶかについては以前紹介しました。
(青色申告特別控除 10万円か65万円か)
選択の基準は、経営者の今後の経営の在り方によって決まるというわけです。

ことばを補うと、複式簿記を導入して65万円控除を狙うことで、取引やその状態を表す貸借対照表が作られるので経理の信頼性が高まることにもなります。

65万円控除という節税効果以上の信頼性を経営者が得られるだけでなく、第三者にも示せるということです。

 

蛇足
貸借対照表は読み方だけでも充分敷居の高さを感じさせます。

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