家事按分はプラスするのかマイナスなのか?
帳尻が合う処理ですか?
帳尻が合えばとりあえずの目標達成となります。
ただし、処理の説明がつかないと腰が座らない
不安定な状態です。
誤解されやすい処理だからこそ、処理の理解がおすすめです。
家事按分と帳尻 季節の定番論点
毎年のことですが、確定申告期には定番の問題と遭遇します。
相談会場では「医療費控除」が定番の問題です。
高額な医療費を払ったにもかかわらず、「所得税」の還付が少ない
と言われることが毎年数件あります。
(医療費控除を図解からイメージする)
個人事業主の申告処理では「家事按分」が定番の問題です。
- いくらにすべきか?
- 何を基準にするのか?
- もっと金額大きくならない?(笑)
支出と事業との関連で合理的に説明のできる費用計上を
個々の事業に沿って見出す必要があります。
(経費で落ちるのが得ってどういうことか)
家事按分と帳尻 プラスなのかマイナスなのか?
家事按分も経理上、簿記上の処理の対象です。
通常の経費の仕訳は下記の通りです。
- (借方)経費勘定 (貸方)お金
家事按分では上記の経費勘定に生活関連支出が含まれています。
決算処理では生活関連支出分を経費勘定よりマイナスします。
- (借方)事業主貸 (借方)経費勘定
経費勘定が貸借で相殺されることで適正な経費計上となります。
上記の処理の結果、決算書(収支内訳書・損益計算書)の経費勘定は
当初計上分よりマイナスされます。
以上は通常の家事按分の複式簿記での処理です。
「帳尻が合う」という視点では別の処理もありえます。
経費勘定をマイナスするのではなく、売上勘定をプラスする処理です。
???
在庫などを事業主が個人的に消費すると「自家消費」となります。
収支内訳書でも青色損益計算書でも「売上」に含まれます。
下記は収支内訳書の一部です。
個人の飲食店や農業経営で利用される処理です。
「家事按分」の処理を「自家消費」ど同様に処理していた(らしい)
処理に出会ったことがあります。
生活関連支出の家事按分を
- 経費勘定よりマイナスするのではなく、
- 収入にプラスする
といった手法で処理されていました。
手書きの帳簿や決算書を作成している場合には、
家事按分対象の複数の勘定の再処理は面倒です。
課税所得を変動させず、かつ簡易な帳簿上の処理として、
「家事按分」を「自家消費」として処理したようでした。
家事按分と帳尻 説明できますか?
適正な納税額の算出をしつつ、経理処理の経済性を両立する
といった発想は無視できません。
「家事按分」を「自家消費」に似せて処理する理由があった
と考えることができます。
一方で、そうした手法を当事者(経営者)が理解していたか?
といった点には留意が必要です。
課税所得や納税額が同等の処理であったとしても、
第三者目線では違和感があります。
当事者だからこそ便宜的な処理は説明できるはず
と第三者からはみられがちです。
「説明責任(accountability)」も「帳尻が合う」ことの一環となります。
蛇足
「説明責任(accountability・アカウンタビリティ)」は経営者だけにある
ということはありません。
2023年(令和5年)末から2024年は政界でも重要なキーワードですね。
今週のスタエフ
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