医療費控除を図解からイメージする

全体像をわかりやすく解説しました。
ご一読ください。

医療費控除をイメージ わしもっと払ったよ!?

確定申告の定番の問い合わせといえば、医療費控除です。

医療費控除が注目されるのは、
・年末調整では取り扱われない
・控除金額として目立つ
・ お金が戻る印象がある(笑)
といった理由です。

確定申告では、医療費控除と還付はセットの印象があります。

よく知られている医療費控除ではありますが、
仕組みの誤解をされている方も多いのが実態です。

よくある誤解では、医療費控除が何らかのキャッシュバックと思っておられるが多いようです。
健康保険の高額医療費や保険金との混同があるからかもしれません。

また、支払った医療費すべてが控除の対象という誤解をされている方も多い印象です。
確定申告の相談でも、医療費控除の金額をお伝えすると、
「わしもっと払ったよ!?」
と困惑される相談者もおられます。

支払った金額のうち、何が医療費控除かという個別・具体的な判定よりも、
まずは医療費控除と確定申告の全体像を掴むと理解が深まります。

医療費控除をイメージ 全体と部分を図解でイメージ

確定申告の全体像は以下のイメージです。

確定申告では、収入→所得→所得控除→税額、の順で処理が進みます。

ポイントは、天引きされている源泉所得税と確定の所得税との違いがあることです。

医療費控除は、所得控除の一つです。
(所得控除には配偶者控除や社会保険料控除などもあります)

確定申告の結果、源泉所得税>確定所得税額、ならば
その差額が還付されます。

言い換えると、医療費控除はキャッシュバックキャンペーンの一環ではないわけです。
(還付はキャッシュバックキャンペーンではございません!)

医療費控除をめぐる問題では、「10万円」の一人歩きがあります。

所得税の手引き(国税庁)では以下のような計算のしくみが示されています。

これは以下のように図解できます。
支払った医療費の純額(上記の「差引金額」)の一部が、医療費控除の対象です。
(下図の緑色の部分)
所得が200万円未満なら、10万円より少ない金額で医療費控除額を計算します。

医療費控除の確定申告全体での位置付けは以下の通りです。

医療費控除をイメージ 医療費控除はプチ収支決算が必要

医療費控除の金額がわかりにくいのは、医療費の支出と収入の整理が必要なためです。

収支というと通常の商売では、収入-支出=利益です。

医療費の収支では、支払金額-受取保険金=差引支払金額となります 。

さらに、この差引支払金額から10万円か所得5%の小さい方を引いたものが医療費控除の対象になります。

こうして計算された医療費控除額が、確定申告では所得控除として反映されます。

事業をされていない方にとっては、確定申告は資料を集めれば OK という印象かもしれません。

しかし、医療費控除の申告には上記のようなちょっとした収支の計算が必要です。

 

蛇足
医療費控除のQ&Aだけを扱った文献でも厚さが枕ほどあったりします(笑)。

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