会計ソフトさえあれば確定申告は楽勝か!?
専門性にハードルの高さを感じて使わないことも、
万能性を期待することも誤解があります。
会計ソフトの効果と限界、強みと弱点を知っておくと、
つきあいやすくなります。
ソフトで楽勝!? 不可欠か?
パソコンソフトを買う機会は一般的に少なくなっています。
お店でCDやDVDを購入して、パソコンにインストールする
というスタイルも過去の光景になりつつあります。
それでも、確定申告期になると会計ソフトの販売は
目につきます。
- 帳簿作成の効率化
- 青色申告特別控除65万円
といった効果を期待するのであれば、ソフトの導入がおすすめです。
会計ソフトは複式簿記での処理を前提にしていますが、
利用に簿記の資格が必須ではありません。
とはいえ、最低限の知識がない状態で利用すると、
利用者自身が混乱します。
- 経理・決算と申告の違い
- 消費税の仕組みと適用
- 発生主義
上記は会計ソフトを利用した方がつまづきやすい原因
といえる前提知識です。
会計ソフトへの入力→集計→転記の効率は絶大です。
反面、何をどう処理しているかわからない場合では、
利用の継続は難しくなります。
ソフトで楽勝!? 表計算ソフトはダメか?
表計算ソフトのExcelやGoogleスプレッドシートは多機能ですが、
利用のハードルは会計ソフトよりグッと下がります。
収入と経費の集計に焦点を当てて利用するならば、
コスト面でも心理的な負担も少なく済みます。
- 副業の雑所得
- 事業所得の白色申告
- 事業所得の青色申告で簡易簿記
上記に該当する場合、Excelなどで経理処理を済ませる
という選択肢が合理的なこともあります。
納税者目線で有力な選択肢です。
その一方で、表計算ソフトによる帳簿は客観的には
わかりにくくもなります。
たとえば、取引先ごとの集計をしていた場合、
- 当事者:取引先→勘定科目
- 第三者:?
と認識がズレます。
「第三者」は税理士や税務署に置き換えられます。
関数やVBAを使って、決算書を作成する効率化も可能ですが、
安定した運用の観点からおすすめできません。
経理処理の量や内容により表計算ソフトでの帳簿作成には限界があります。
ソフトで楽勝!? 効果と期待を整理!
会計ソフトと表計算ソフトはそれぞれに長所も短所もあります。
言い換えれば、両者とも万能性はありません。
会計ソフトの長所としては、
- 経理処理
- 決算書作成
があげられますが、
- 入力
- 経営分析
といった面では表計算ソフトに分があります。
会計ソフトを使うか、表計算ソフト使うかといった選択には、
- ソフトを使う効果と期待の整理
がおすすめです。
留意したいのは、「コスパ」という切り口であっても、
- 経理処理の支出を減らす
- 青色申告特別控除65万円に期待する
- 経理処理を外注化する
- 事業拡大を見据えた準備をする etc.
と評価の基準は異なります。
ソフトの選択には経理処理に何を期待するかという
経営者による整理が必要です。
蛇足
数年来、パソコンのディスクドライブを使っていません。
(ノートパソコンにはディスクドライブがありません)
2023年(令和5年)、石川県ではレンタルビデオ店の閉店が連続しています。
CD・DVDといったメディア媒体の利用だけでなく、
「ビデオ」の「レンタル」も過去になりつつあります。
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