マルサの報告を読んでみよう! 脱税の傾向と対策

「マルサ」も「傾向と対策」も20世紀というより昭和を感じますね。


出だしから強面。

マルサの報告 電話連絡ならマシ!?

見慣れない番号からの電話にでて営業だと、イラっとするかもしれません。

では、相手が税務署からだったら、どんな印象でしょうか?

楽しい予感はないでしょう(笑)。

もし、税務調査の連絡だったら落ち着かなくもなります。

不安を感じさせる税務調査ですが、形式上「任意」です。

税務調査は所轄の税務署が行います。

これに対して、査察は連絡も予告も無く、強制で行われます。

査察は国税局査察部が行います。

査察では、億単位の脱税を取り扱う調査です。

国税庁から査察の報告資料が発表されました。

マルサの報告 脱税の傾向と対策

この記事の冒頭で示したように、出だしから強面の印象です。

・悪質な脱税者
・刑事責任を追及
・一罰百戒
・厳正な調査

通常の税務調査との違いを際立たせています。

報告の構成は以下の通りです。
1査察調査の概要
2重点事案への取組
3不正資金の留保状況及び隠匿場所
4査察事件の一審判決の状況
5査察における取組
6参考計表

事例については、「トピック」として簡潔に紹介されています。

■1査察調査の概要

令和2年度の取り組みとして、83件を検察庁に告発して、脱税額は69億円。

暗号資産(仮想通貨)の判決にも言及(後述)。

■2重点事案への取組

具体的な査察の対象が報告されています。

脱税というと法人税や所得税を思い浮かべがちですが、
真っ先に取り上げられているのは消費税です。
(告発は18件)

消費税の輸出免税制度を悪用した不正還付が国庫金の詐取といえるため
悪質性が高いと示しています。
(告発は9件、不正還付額は3億8千万円)

売上除外や架空経費の計上、二重帳簿の作成という不正がおこなわれていないが、
申告も行われていない「単純無申告ほ脱犯」にも言及されています。
(告発は7件)

■3不正資金の留保状況及び隠匿場所

マルサらしい報告がみられます(笑)。

脱税と現ナマの相性の良さが伝わります。

■4査察事件の一審判決の状況

令和2年度中の一審判決は87件が言い渡され、86件が有罪、6人に実刑判決が出ています。

暗号資産の事例も紹介されています。

上記の裁判は私も傍聴しました。
(仮想通貨で脱税の裁判を傍聴しました in金沢地裁)

■5査察における取組

今後の査察の取組が示されています。

国家公安委員会や警察庁と連携し、さらに金融機関と金融庁とのコラボも予定。

先日報告された国税庁のDXにもつながりそうです。
(国税庁のDXマニフェスト 将来?、始まってるでしょ!?)

■6参考計表

各種の件数や金額のデータが紹介されています。

源泉所得税の脱税額も意外に目立ちます。

コロナ禍での経営環境の変化で、告発される業種も変わるかもしれません。

マルサの報告 天網恢恢疎にして漏らさず

マルサの報告を読んでみると、自分や自社とは縁が無い
と思われるかもしれません。
(そうあってください(笑))

悪質や意図的とされる脱税の当事者になる不幸は避けたいものです。

とはいえ、知識の不足やサポートの不足から申告納税のトラブルに
遭遇する可能性もあります。

税理士への相談で、トラブルを未然に防ぐことがおすすめです。

天網恢恢疎(てんもうかいかいそ)にして漏らさずです。
(悪事はバレます)

 

蛇足
通常の税務調査→税務署→町奉行所
脱税の査察→査察部→火付盗賊改方
やっぱり昭和感(笑)。

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