柔軟な経営に貸借対照表が必要な理由とは?
残高管理で将来の経営へ
ガチガチっとしていてとっつきにくい貸借対照表ですが、
経営の柔軟性に欠かせない決算書でもあります。
柔軟性の裏付けを経理面から理解するおすすめです。
柔軟性とBS 損益だけじゃ不足か?
不用心でもなければ悪質でもない経営者、ただし経理処理は初心者
という方の場合、
- とりあえず領収書やレシートは保管
- 入金先の銀行口座は固定
といった対応はとられています。
具体的にどういった処理をすべきかは不明であっても、
処理の材料を用意しておくという対応です。
そうした段階で想定している処理は、
- 損益計算重視
- 税務申告漏れの回避
といった目的が潜在的にあります。
うっかりや知識不足でも無申告では残念な結果となるので、
法律上のトラブル回避対応は妥当な選択です。
一方で、損益計算中心の経理処理は、
- 柔軟な経営を支えるためには物足りない
という問題があり、
- 貸借対照表での残高管理が欠かせない
といった対応を勧める根拠ともなります。
柔軟性とBS 経営の柔軟性とは?
経営の柔軟性とは何か?、というと対象が漠然としています。
営業にともなうお金やモノの管理に限定すると、
経理上の問題ととらえることができます。
対面での現金取引であれば、シンプルな処理です。
- 売上 (借方)お金 (貸方)売上
- 仕入 (借方)仕入 (貸方)お金
複式簿記で処理する強い動機づけはみえにくい印象です。
一方で、「委託販売」といった「特殊商品売買」。
(一般的じゃない商品売買をしていませんか?)
売り手である委託者にとっては、
- 遠隔地の買い手へのアプローチ
- 販売事業者の営業力
- 拠点を地方に置くことでのコスト抑制 etc
といったメリットがあります。
反面、委託者は「一般」商品売買と異なる管理に直面します。
まず、売上。
販売事業者と買い手で商品やお金がやりとりされた時点と
委託者への入金のタイミングは一致しません。
「売掛金」といっても委託販売と一般取引を区別する必要があります。
- (借方)積送売掛金(BS) (貸方)積送売上(PL)
勘定科目は「売掛金」であっても「補助科目」で分けて管理する
という処理が妥当です。
また、販売事業者に送った商品は送った時点では販売していません。
- (借方)積送品(BS) (貸方)商品(BS)
委託販売は魅力のある取引形態ですが、損益(計算書、PL)だけでは管理できません。
適切な取引管理には貸借対照表(Balance Sheet)が必要となります。
柔軟性とBS 残高と将来の経営
経理処理を行った後、たとえば毎月ごとの処理では、
- BS残高
- 損益の変動
- 消費税の処理
といった定番の確認項目があります。
経理処理の確認というと、過去の取引の確認の印象が強いのですが、
- 貸借対照表の残高確認は将来に向かっている!
という性格があります。
売上はお金として回収していなければ取引として完了しません。
商品は手元にあっても、積送先にあっても棚卸資産であり、
取引した会計期間だけでなく将来の損益にも影響します。
柔軟な取引による経営には貸借対照表での管理がセットとなります。
貸借対照表は決算書のおまけではありません。
蛇足
アイキャッチ画像は安曇野市在住の親戚からのいただきものです。
私の住んでいる石川県では長野へりんご狩りを兼ねたドライブ
という方も秋に多いようです。
蛇足2
石川県金沢市の犀川は東西を流れる河川ですが、
長野県安曇野市の犀川は南北にを縦貫しています。
蛇足3
読み間違いや書き間違い防止(笑)。
- 安曇野‐あづみの(Azumino) ← あどの×
- 彩香‐さいか(saica) ← あやか×
現代仮名遣いでは「あずみの」となりそうですが、
安曇野市では「あづみの」を採用しているようです。
<ご案内>
■林友範税理士事務所
■災害と税金の情報
■確定申告のご依頼も受付中!