廃業のときにも決算書の作成が必要です!
後顧の憂いを断つ貸借対照表

「廃業」という字面は好きになれませんね。

事情は様々ですが、次の段階への準備があります。

廃業でも決算書 2文字の裏側

経営には「創業」や「起業」もあれば、「廃業」もあります。

「廃業」、とりわけ個人事業では、

  • 事業不振
  • 経営者の高齢化
  • 後継者の不在
  • 経営者の死去

といった経営者に関わる理由での廃業が目につきます。

経営者の存在あってこそ成り立っている個人事業
という現実が明らかになります。

上記の理由とは別に、

  • 個人から個人への事業承継

といったきっかけも先代事業者には廃業のきっかけとなります。

「廃業」には「倒産」や「破綻」とは異なる背景もあります。

廃業でも決算書 それでも決算書は必要

事業活動を終了するきっかけは様々です。

一方、それでも廃業以前の事業活動には税金がついて回ります。

廃業に至るまでの帳簿の作成や決算書、さらに税務申告が必要となります。

個人事業主の死去による「準確定申告」も「準」が加わるものの、
申告期限が亡くなってから4か月という違いがあるくらいです。
 (正確には「相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内」)

経営者が存命であれば経営者、亡くなっていれば相続人が、
帳簿・決算書・申告書を用意することになります。

作成順は、決算書→申告書です。

現実には、申告が必要だから決算書を作成することもあり、
申告書作成のために決算書を用意することになります。

税理士の関与の割合が高い法人とは異なり、
個人事業では決算書の作成にも違いがあります。

「白色申告」や「青色申告」といっても「簡易簿記」であれば、
「損益計算書」だけを作成することになります。

複式簿記の処理に比べて直感的に処理ができます。

反面、損益計算書だけでは廃業時点での経営状態が一望できるとは言えません

たとえば、売上と売掛金。

お金の動きで帳簿を作成する「現金主義」の場合、
廃業以降の入金があると決算書とズレが生じます。

  • (借方)お金 (貸方)売上
  • 廃業日後はどこに計上?

「発生主義」での計上の合理性がわかります。

  • (借方)売掛金 (貸方)売上
  • 廃業日以前に貸借対照表と損益計算書に計上

「売掛金」は「貸借対照表」にを計上されます。

売掛金以外にも、未収金・買掛金・未払金などの
収益や費用と関連する債権・債務も同様です。

廃業でも決算・申告は必要となります。

貸借対照表は廃業時点の経営を表示する決算書
という位置づけとなります。

廃業でも決算書 後顧の憂いを断っておく!

法人とは異なるものの、個人事業でも廃業には手続きが必要です。

「廃業届け」や「予定納税の減額承認申請」の提出を行います。

とはいえ、上記のような書類は提出をもって処理が完了します。

他方、税務申告での処理が不充分の場合、不安が残ります。

「廃業」は事業の終了ではありますが、当事者の生活や活動は続いていきます。

「発生主義」での処理や「貸借対照表」の作成は経営の継続だけでなく、
「廃業」においても誤解やトラブルを防ぐことにつながります。

後顧の憂いを断つ!といった会計・税務の処理がおすすめです。

数十年後の「廃業」も現在とつながっています。

 

蛇足
飲み会の事実上の終了では「中締め」といった表現があります。
「廃業」の残念な表現も工夫できないものかと思います。

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