移動年計の作り方と見方
サクッと作って、ザックリ見える化

長い目でみるために、です。

移動年計 ザックリ知りたい!

税理士がこれからお付き合いするお客様の事業を知る上で、
過年度の決算書や申告書は必ず確認します。

業種や業態も確認しますが、何はともあれ事業規模、
とりわけ売上高には関心が強いものです。
事業規模や事業の状態と直接関連した売上高は要チェックです。

とはいえ、年間の売上高だけではピンボケの印象です。

たとえば、学生街で飲食店を経営していると、
学生が帰省する冬から春や夏に売上が落ちます。
また、2020年(令和2年)3月以降のコロナ禍による変動が
その前後の業績を攪乱しています。

決算書や申告書で使われるデータとは別に、
長期の経営動向をザックリ知るためのデータが必要です。

移動年計 Excelでサクサク作成

「移動年計」ということばは聞き慣れないかもしれません。

移動年計とは、売上高を例にとると、2021年(令和3年)3月の場合、
移動年計売上高=(2020年4月~2021年3月)の合計
という売上高となります。
当月分を含めた過去12か月分の売上高の累計、といえます。

経営初年度はデータが不足しているので、2年目以降に作成可能です。

移動年計で累計した売上高は決算月を無視しています。

言い換えると、決算書や申告書では見られない数字です。
(決算月の金額のみ決算書に表れます)
各月の年計売上高は、もしその時点で決算をした場合の仮の売上高となります。

その一方で、移動年計による処理は
・経営の長期の動向や推移
季節性の変動を排除
という結果を知ることができます。

今回は売上高をとりあげましたが、原価や人件費でも同様の処理が可能です。

Excelへのちょっとした入力とSUM関数だけで作成可能です。

移動年計 移動年計→見える化もサクッと!

移動年計は長期の動向をサクッと処理できます。

とはいえ、数字の羅列だけではインパクトが足りません。

移動年計を作るのであれば、グラフによる見える化もおすすめです。

上記の例であれば、「対象期間」と「年計」を選択して(「売上」は非表示)、
AltとF1を同時に押せば、グラフが挿入されます。

データのままでは抽象的な印象でも、グラフによる見える化でインパクトが強まります。

Excelのタブの「挿入」→「図形」からは矢印や円をグラフに追加できます。

上記の例では、コロナ禍以前では右肩上がりだった売上高が
コロナ禍以降急速に落ち込んでいる状態がわかります。

先行き不透明なときだからこそ、長期の動向を見通す手段も有効です。

 

蛇足
移動年計での売上高を知りたいなー、と思ったら
月次決算が必要です。

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