貸借対照表 模擬店にない理由

そういえばそうだなを突っ込んでみます。

貸借対照表 あらためて紹介

貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)。
お経に出てきそうな文言ですが、重要な決算書です。

重要、とはいいつつ損益計算書のように売上や費用、利益がサクッとわかるものではありません。
また、確定申告の青色申告特別控除でも65万円控除を狙わないなら不要でもあります。

重要なくせに立ち位置がハンパな印象です。
あらためて貸借対照表の内容を確認します。

ポイントは一時点での財政状態です。
一時点は決算日、個人事業主の方なら12月31日です。
財政状態は、お金の調達元の負債と純資産とその状態を表す資産です。

損益計算書は一般的に売上から利益を上から下に表示していきますが、貸借対照表は左の借方(かりかた)に資産、右の貸方(かしかた)に負債と純資産を表示します。
貸借対照表は英語でBalance Sheet(バランスシート、B/S)と言われますが、資産と負債・純資産のバランスであることが上の図からもわかります。

貸借対照表 模擬店の正体

貸借対照表の内容は難解なものではありません。

問題は、なぜ重要なはずなのに確定申告では必ずしも必要ではないのかというハンパな立ち位置です。

模擬店を考えてみます。
模擬店の「模擬」は似ているけれど違いがあるという意味です。
(模擬試験(模試)もそうですね)
では、なにがふつーの店と違うかと言えば、事業の継続です。
模擬店は事業の開始と終了があらかじめ決められています。
決算をする場合も、収支というお金の入出金の報告に絞られます。
別の表現をすると、模擬店を運営中に決算日を設けて、その時点での財政状態を確認する必要がないということです。

貸借対照表 簡易簿記で非表示化している

継続している事業を前提にしつつ、決算日があるためその時点での財政状態を表す貸借対照表と決算日までの経営成績を表す損益計算書が必要ということになります。

売掛金や買掛金・未払金、固定資産と減価償却費は発生主義の考え方からでてきます。
(発生主義のわかりにくさを理解する)

事業の継続と一定の期間(通常一年)での損益計算をつなげる発生主義によって一時点の財政状態を表す貸借対照表がでてきます。

では、なぜ確定申告で必須ではないかというと、売掛金や買掛金・未払金は売上や仕入などとセットで登場することに理由があります。
簿記の表現の仕訳(しわけ)でいうと、売掛金/売上、仕入/買掛金と左右に勘定科目を記入する複式簿記が前提となります。

発生主義での会計なら複式簿記も必須ということなのですが、事務処理の負担軽減という建前と納税の敷居を下げたいという当局の本音の大人の事情で、簡易簿記という損益計算書に発生主義を反映させる処理もOKとしているわけです。
(上の例ですと、売掛金/売上という期末日で未収の分も売上に計上します)

大人の事情で、簡易簿記のもとで貸借対照表を非表示化しているとも言えます。

フリーランス・個人事業主の方とは異なり、法人では帳簿の負担軽減の考え方が無いので貸借対照表は必須です。

 

蛇足
模擬店の意外な印象が見えたかもしれません。

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