確定申告=所得税ではありません! 相続税から振り返る贈与税申告
「うっかり」ということばも出ないかも!?
数字だけをみるとバイオレンスな世界の様相。
確定申告 所得税だけじゃない
年末の書店に行くと店内の BGM はクリスマス一色です。
季節性の商品としては、
- 手帳
- 家計簿
- 年賀状イラスト集
- 確定申告のマニュアル
といったところが定番です。
確定申告のマニュアルのコーナーをみていると、
- 確定申告=所得税
という印象が残ります。
間違っているわけではありませんが、正しくは、
- 確定申告=所得税(住民税)・消費税・贈与税
というラインナップです。
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」をみると一目瞭然です。
消費税の確定申告が所得税ほど強調されない理由は以下の通りです。
- 納税者が個人事業者に絞られている
- 会計処理や所得税の処理と並行して処理されるため
所得税や消費税と申告の状況が大きく異なるのは贈与税です。
確定申告 相続税から振り返る贈与税申告
贈与税の納税義務者は、財産をもらった人です。
1月1日から12月31日までにもらった財産の額が110万人を超えると
贈与税の申告と納付が必要になります。
申告と納税は、財産をもらった年の翌年2月1日から3月15日です。
(締め切りは所得税と一緒ですが、受付は2週間早いのです)
確定申告のトラブルというと、
- 処理が締め切りギリギリ!
- 資料がなかなか揃わない
- 納税資金が足りない
といったところが定番です。
当事者(納税者と税理士)には切迫感があります。
贈与税での確定申告のトラブルは上記と大きく異なります。
目立つトラブルは、未申告(無申告)です!
!?
なんだか急に無法でバイオレンスな世界に放り込まれたようです(笑)。
国税庁の公表資料「令和2事務年度における相続税の調査等の状況」では
贈与税の申告状況も報告されています。
贈与は生前に行われる相続というとらえ方をするので、
相続税の税務調査で贈与税の申告状況が明らかになります。
(贈与税は相続税の補完税といわれています)
所得税などではみられない申告状況も示されています。
無申告がこれほど大手を振っている税目があることすら
知られていないかもしれません。
確定申告 無自覚でも申告漏れ
確定申告の無申告の理由では、
- 申告の手続きがわからなかった
- 「ついうっかり」遅れてしまった
- 資金繰りがつかなかった
- 業務が忙しかった
といった納税義務を知っていたことが一般的です。
(もちろん意図的な脱税無申告もあります)
これに対して贈与税の無申告の背景には、
- 贈与税の仕組みを知らなかった
- 確定申告の手続きを知らなかった
といったケースもありえます。
とはいえ、贈与税の確定申告での不備は後々トラブルの元です。
- 無申告加算税
- 延滞税
- 重加算税
といった余分な負担も出てきます。
財産のやりとりでの当事者、とくにもらった側の場合、
- 確定申告=贈与税!?
と疑ってみることがおすすめです。
蛇足
2021年(令和3年)12月の税制改正大綱では暦年贈与見直しは
先送りでした。
将来の制度変更は依然として濃厚なので注意が必要です。
(税制改正大綱は斜め読み飛ばし読みで OK!)
今週のスタエフ
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