簡易簿記アプリは初心者向け?、玄人向け?
利用の可能性を広げてみる!
機能がシンプルなツールは一般的には初心者向けです。
他方、専門家や玄人の扱うツールも機能は絞り込まれ、
無駄がないものだったりもします。
手を動かして確かめてみるとわかることがあります。
簡易簿記アプリ ChatGPTで試行錯誤
2025年(令和7年)はこれまで以上にAI業界が活況を呈しています。
専門家・エンジニアだけでなく、業務の効率化を期待している
別の業界からの参入も盛んになっています。
たとえば、税理士。
仕事の都合上、データの入力や資料の収集・分析・作成
とデジタルでの効率化を期待する面が多々あります。
AIの利用は効率化だけでなく、コスト削減にもつながります。
税務会計業務には各種のソフト・アプリの利用が欠かせません。
自作・DIYでツールが作成できれば…、とらぬ狸の皮算用(笑)。
ガッツリ機能を盛り込んでの会計ソフトはともかくとして、
簡易な簿記アプリをChatGPTで作成してみることにしました。
簡易簿記アプリ 素っ気ない機能
ChatGPTにちょっとした指示(プロンプト)を伝えると、
ドドッと成果を出してくれます。
当初は安直に成果が出るものと期待していましたが、
必ずしも期待通りに進まない状況が続きました。
たとえば、仕訳の入力。
複式簿記の基本的なデータの単位になる「仕訳」は
日付・借方科目・貸方科目・金額・摘要で構成されます。
- 2025年8月12日
- (借方)売掛金 (貸方)売上 1,000,000
- 金沢商事
シンプルなはずですが、ChatGPTの出力は必ずしも安定せず、
入力順序がバラついたり、欠けることもありました。
ささいなことですが、仕訳の修正や削除の機能がない場合、
非常に使いづらいことがわかりました。
決算書をPDFに出力しようと企んでみたものの、
- 文字化けの発生
- 決算書様式が期待外れ etc
と残念な結果が続きました。
試行錯誤の結果、「簡易簿記アプリ」はシンプルな構成となりました。
- 仕訳の入力
- Excelからのインポートは可能
- 消費税の処理はなし
- 仕訳帳を表示・削除、Excelでのエクスポート
- 総勘定元帳を表示、Excelでのエクスポート
- 試算表を表示、Excelでのエクスポート
- 科目の並び順は無視
- 決算書の作成機能はなし
- その他
- プラウザで使用
- データの保存機能はなし
- 仕訳をインポートするExcelファイルにデータを保存
簿記の処理での仕訳の入力と集計、転記の最小構成の機能です。
簡易簿記アプリ 初心者向け?、玄人向け?
簡易簿記アプリは簿記の学習用や説明用の利用に使えそうです。
初心者向けのアプリといった割り切りが現実的です。
とはいえ、実用性や実効性と無縁とは言えません。
裏付けのある取引と適切な判断での仕訳を入力していけば
仕訳帳・総勘定元帳・試算表が作成できます。
仕訳帳などはExcelでのエクスポートが可能になっているので、
形式的な面での編集が可能です。
入力データを利用して決算書を作成することもでき、
別途固定資産台帳を準備しておけば処理は充実します。
税務会計スキルやExcelなどのITスキルが有れば、
簡易簿記アプリの利用の可能性は広がります。
利用の可能性や会計データの活用はというとらえ方は
市販の会計ソフトの利用でも当てはまります。
会計処理の初心者・玄人といった違いはありますが、
それぞれの立場で見直す点が見つかるはずです。
蛇足
2025年の「記帳指導」で簡易簿記アプリを利用してみようか?
と思案中です。
AIを利用した資料の作成も検討中です。
地味な印象の記帳指導ですが、変化は加えられますね。
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