消費税が経費に計上できる理由と誤解とは?
シンプルで合理的な選択をしていますか?
処理や考え方を段階的に確認していくと納得できることも
一足飛びに結論だけ得ようとすると誤解するかもしれません。
決算・税務申告を済ませた後だからこそ気になる論点もあります。
消費税は経費? 経費になる税金、ならない税金
月次であれ年次であれ決算処理の後には確認が必要です。
経営状態の確認だけでなく、想定していた経理処理が反映されているか?
といった確認もあります。
税理士としてお客様と決算書を確認していると、思わぬ誤解が判明する
きっかけがあったりします。
たとえば、借入金の返済。
銀行に返済しているお金が経費に計上されていないと指摘され、
- 返済額は経費に計上できないが、
- 借入をしても収入にはならない
といった損益計算の基本を確認することもあります。
あるいは、税金と経費の計上。
固定資産税や事業に関連した自動車税などは経費に計上します。
他方、所得税は事業上の経費には計上しません。
プライベートな支出としての会計処理となります。
- (借方)事業主貸 (貸方)お金 納税額
一方、事業所得と並行して処理している消費税の納税額は
経費として計上することもあります。
消費税を経費として計上することはありますが、
- 個人事業主だから
- 消費税だから
経費に計上するといった考え方は誤解です。
消費税は経費? 経費方式をご確認!
消費税を経費として計上するかどうかは、
- 消費税の経理方式で税込経理かどうか?
といった一点が判断基準です。
個人事業主か法人かといった違いではありません。
消費税を経費として計上する経理方式は「税込経理」が一般的です。
「税込経理」は主に簡易課税・2割特例での課税事業が選択します。
たとえば、売上時の処理では消費税分を込みで計上します。
- (借方)売掛金 (貸方)売上 請求金額+消費税
受け取った消費税と対応させるために納税時に経費で計上します。
- (借方)租税公課 (貸方)お金 消費税納税額
上記のように納税時ではなく、決算処理と消費税の処理を並行する場合は、
- 計上時 (借方)租税公課 (貸方)未払消費税等
- 納付時 (借方)未払消費税等 (貸方)お金
と「未払消費税等(負債科目)」も扱うこともあります。
「税込経理」は簡易課税や2割特例を選択している事業者にとって
シンプルで合理的な選択となります。
消費税は経費? シンプルで合理的な選択を!
消費税の経理方式が「税込経理」であれ「税抜経理」であっても、
納税負担額には影響しません。
影響は記帳や税務申告の負担に生じます。
簡易課税や2割特例を選択している課税事業であれば、
売上高を基準に納税額が計算できます。
売上も経費も税抜処理で記帳する積極的な理由がありません。
簡易課税や2割特例では「税込経理」が合理的な選択です。
本則課税であれば消費税の基本的な発想に立ち返ることになります。
- 消費税の納税額=(受け取った消費税)-(支払った消費税)
「仮受消費税等」や「仮払消費税等」といった勘定科目の利用が
会計処理で合理的な選択となります。
とはいえ、本則課税だから全ての課税事業者が税抜経理を選択している
とは言い切れません。
たとえば、手書きで記帳している場合。
税抜経理が煩雑なので税込経理を選択していることがあります。
一見合理的な選択のようですが、消費税申告のための集計が必要と
経理処理の二度手間が無視できません。
本則課税は「税抜経理」と相性が良いのですが、会計ソフトを使う
といった選択も欠かせないことがはっきりします。
事業の継続と消費税の処理や負担は並走していきます。
シンプルで負担の少ない合理的な選択をしていくことがおすすめです。
蛇足
アイキャッチ画像は散歩中にみかけた河津桜です。
2024年(令和6年)3月の石川県は三寒四温どころか、
六寒一温くらい天候不順です。
花の見頃が続くかもしれない点が救いかもしれません。
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