会計ソフトの制約とのつきあい方とは?
補助科目とデータの加工でカバーする
正面突破だけが選択肢ではありません。
制約があるなら他のアプローチで乗り切ります。
ソフトの制約 使えない?
事業を続けるのであれば、会計ソフトの利用はセットとなります。
幸いなことにソフトの価格や利用料は高くありません。
個人事業であれば1万円程度で買い切りのソフトも販売されています。
あるいはサブスクのクラウド会計ソフトもあります。
入力の手間が大幅に省力化できる点が魅力です。
会計ソフトの利用で「貸借が合わない!」といったトラブルは
過去の問題となりました。
集計や転記の処理で煩わされる心配もなくなりました。
とはいえ、会計ソフトが万能ではないケースもあります。
たとえば、個人事業での製造活動。
青色申告決算書でも「製造原価の計算」表示があります。
(製造原価報告書はどことつながっているのか?)
表示の処理だけでなく、利益の管理の観点からも有効な処理です。
ただし、会計ソフトによっては製造業に対応していない仕様もあります。
検討の余地が出てきます。
ソフトの制約 補助科目とExcelで!
事業に合わせた会計ソフトを利用することが前提です。
しかし、一旦利用し始めたソフトを期中から変更することで
不都合を感じることもあります。
「製造原価の計算」は、
- 製造と販売・営業のコストの分離
- 売上と粗利(売上総利益)の対応の把握
- 製造に対する経費の期間比較を可能にする
といった実益を狙って作成します。
「製造原価の計算」の作成は利益(所得)や税額を左右しない
といった点を確認しておく必要があります。
ソフトの制約上、製造の経費の計上や「製造原価の計算」が出力できない
といって会計処理ができなくなるわけではありません。
ソフトの制約は以下の2点でカバーできます。
- 補助科目の設定
- Excelでのデータ加工
製造業に対応できない場合、
- 材料費
- 労務費
- その他の製造経費
上記の対象を販売・営業の経費と合算することになります。
たとえば、水道光熱費。
製造で支払う分と販売・営業分での支払いが合算となるわけです。
あるいは棚卸資産。
材料や製品だけでなく、販売目的で仕入れた製品なども合算されます。
利益の管理として適切な処理とは言えなくなります。
「補助科目」の利用は同一の科目内での選別になるので、
残念な合算の歯止めになります。
会計ソフトの制約はソフトの外で解決することもできます。
たとえば、Excelでのデータの加工です。
会計ソフトでは同一の科目に合算されている対象でも、
Excelで加工して利益・コストの管理に利用できます。
会計ソフトに制約がある場合でも手の打ちようはあります。
ソフトの制約 残念なままにしない!
帳簿や決算書の作成が税務申告のためと割り切ることもできます。
目的を割り切って、会計処理を端折る選択肢となります。
期限内申告に焦点を当てているのであれば合理的な選択かもしれません。
反面、上記の例では製造と販売・営業の経費が混在します。
売上と製造コストの適切な把握が手つかずとなります。
中長期的には会計ソフトの変更も選択肢となります。
といって会計ソフトの制約を放置する必然性はありません。
現状でできる手を打っておくことがおすすめです。
ストレートな一手詰め以外でも課題をクリアすることはできます。
会計ソフトは便利なツールですが、万能ではないこともわかります。
試行錯誤の成果は翌年以降の会計処理にも役立ちます。
蛇足
アイキャッチ画像は事務所近くで撮影しました。
北陸(石川県)の12月では貴重な青空でした。
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