貸借対照表の流動と固定とは

これはありませんね。

流動と固定 資産と負債をさらに分類

決算書でも重要な貸借対照表については、これまでにも紹介してきました。
(貸借対照表とは 見られる視点から理解する貸借対照表 模擬店にない理由)

貸借対照表の右側の貸方(かしかた)がお金の調達を表し、左側の借方(かりかた)がお金の現在の状態を表しています。

さらに詳しくみると、借方の資産にも、貸方の負債にも同じように「流動」と「固定」という分類がされています。
つまり、流動資産・固定資産 ・流動負債・固定負債があるわけです。
この流動と固定という分類があるので、同じ借入金であっても、1年以内に返済する予定ならば流動負債、それ以外の借入金は固定負債に分類されます。

流動と固定を分ける基準があります。
まず、「正常営業循環基準」があります。
商品を仕入→販売→お金を回収するという営業のサイクルをもとにした基準で、営業サイクルに入っている勘定科目を流動とします。
資産では現金預金・受取手形・売掛金・商品が流動資産となり、負債では支払手形・買掛金が流動負債となります。

もう一つの基準が、「一年基準」です。
貸借対照表日を基準にして、1年以内にお金の動きにかかわる勘定科目を流動、それ以外を固定と分類します。
経過勘定の前払費用や未払費用などは一年基準による分類です。
(経過勘定から簿記一巡を理解する

流動と固定 なぜ区別するか

貸借対照表は一時点での財政状態を表す決算書です。
とはいえ、事業活動の継続を前提としながら作る決算書なので、事業の継続に役立つ情報を表していく必要もあります。

事業活動を続けるために最も必要なのは、お金です。
このため資産では現金預金をトップに、負債では直近の支払いに関わる支払手形や買掛金がトップに置かれます。
固定資産は長期的に減価償却を通じて費用化され、固定負債では借入金のように長期にわたって支出が拘束される勘定科目が明瞭になるように記載されるわけです。

こうしたトップに流動、その下に固定という配列は一般的なのですが、事業によっては固定→流動という配列の場合もあります。
たとえば、電力会社の貸借対照表です。
短期的なお金のやりとりよりも、長期的な事業活動の運営や多額の設備投資を重視しているためです。

また、事業活動を終了させて解散・清算に至る場合には流動や固定の分類が不要にもなります。

流動と固定 それ以外

貸借対照表の資産と負債については、流動と固定の分類があります。

その他にも貸借対照表の純資産には、資本金や剰余金といった事業規模や事業活動の累積成果を示す役割があります。
純資産の部は営業サイクルやお金のやりとりと直接結びつかないので、流動・固定という分類はありません。

また資産では、「繰延資産(くりのべしさん)」という分類もあります。
開業費などを長期的に費用に振り替えていくまでの入れ物というイメージです。
営業サイクルと直接結びつかないことや、お金のやりとりがすでに終わっていることから流動・固定という分類はありません。

売上や利益を表している損益計算書と異なり、貸借対照表はとっつきが悪いかもしれません。
流動や固定といった分類を補助線にすると、どのような事業活動を行っているかをイメージしやすくなります。

 

蛇足
流動や固定という名称を付けた方は、どんなイメージをもっていたんでしょうか?
金は天下の回り物といったお金の流れ重視でしょうか

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