現金手渡しの賄賂がバレる理由とは?
口座と帳簿で隠し通せるか?
2023年(令和5年)11月の石川県にとっては生々しい内容です。
古典的な問題ですが、廃れないだけの理由がありそうです。
賄賂がバレる 現金取引を貫徹すれば…!?
経理処理で重視する書類としては?という問いには、
- 領収書やレシート!
といった即答がありそうです。
間違いではありません。正解です。
経費(所得税・法人税)も「仕入税額控除(消費税)」のインボイスでも
領収書やレシートの保管は必要となります。
とはいえ、税理士として確認する書類やデータとしては、
- 銀行口座の入出金!!
が欠かせません。
たとえば、小売業。
お客様から受け取るお金が少額の現金であっても、
- 集まったお金の管理
- 定期的な支払い
といった都合上、銀行口座の利用は業務上必要となります。
長期でまとまったお金の管理には口座の情報が有効です。
口座の情報を利用者以外の目線で入出金をとらえれば、
- 口座の入出金でお金も行動の履歴もたどれる
ということもできます。
一方で、現金での取引を貫徹すると使途はわからないのでは?
と不穏な発想に至ります。
賄賂がバレる 経理処理では隠せる!?
2023年(令和5年)11月石川県のローカルニュースは「贈収賄」がトップです。
某町長が公共工事の入札をめぐり、町内の事業者より現金50万を見返りに
落札価格を漏洩した疑いで当事者双方が石川県警に逮捕されました。
落札価格情報の見返りに、下記の取引があったそうです。
- 事業者の妻から町長の妻へ現金で50万円が渡された
事業者から町長とストレートでもなく、金銭の授受が現金だった
という形態からはバレにくそうな印象です。
金銭の授受を当事者目線で経理処理でとらえてみます。
まず、事業者側からの出金。
- (借方)交際費 (貸方)預金 50万円 町長へ入札見返り
確実にバレます。損金不算入どころではありません(笑)。
一方、ストレートな経費による授受ではなく、
- (借方)役員報酬 (貸方)預金 社長へ役員報酬
として社長のプライベートの預金口座に入金して、
小口での引き出しをすれば現金が用意できます。
現金の授受を当事者間ではなく、配偶者を介することで、
口座にも会社の帳簿にも証拠が残らないことになります。
(実際の授受の処理は現状解明中のようです)
とはいえ、現実には贈収賄での逮捕にいたっています。
現実には口座や帳簿上の小細工では綻びる要素がありそうです。
賄賂がバレる 当事者だけで限定できない要素
件の町長は今年の8月頃より贈収賄での逮捕を予見していたそうです。
また、地元新聞(北國新聞)でも逮捕一週間前より記者が張り込んでいた
ということも報じられています。
報道では、
- 町長を選挙で後援している事業者が
- 入札ソフトを使用していないにもかかわらず
- 複数の公共工事を落札
といったこともとりあげられていました。
口座や金銭の授受の取り繕いは当事者にとっては
水も漏らさないやりとりに思えたかもしれません。
しかし、周囲の当事者以外からの目線では贈収賄の疑惑は
避けられなかったようです。
「天網恢恢疎にして漏らさず」の一例となりそうです。
蛇足
「貝」はお金に関連している漢字です。
- 貨幣
- 買う・購入
- 財産
- 賭博
「賄賂」や「贈賄」にいたっては「貝」が二重です。
「貝(お金)」は多いことが一般的には魅力ですが、
二重になるとかえってマイナスの結果と皮肉ですね。
蛇足2
似たような字が並ぶのでザックリ整理。
- 賄賂≒贈収賄=贈賄(おくる側)+収賄(うける側)
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