税理士簿記・財表受験者のための法人税
言われてみればということです。
簿記・財表と法人税 決算問題作成者のアタマのなか
あらためて税理士試験の簿記論と財務諸表論の問題をみると、しんどいなーと感じます。
解けるかどうかというよりも、制約された時間内での競争試験という圧力を想像して気が重くなるわけです。
しかし、受験から離れた位置から決算問題(簿記・財表の第三問)をみると、受験していたときと別の印象を受けました。
決算問題は、最終的に貸借対照表と損益計算書が完成されることがゴールとなります。
見方を変えると、法人税(厳密には法人税等ですが)も算出されていることが前提となっています。
簿記・財表だけをみていると、法人税の問題文での指示はおまけのような印象です。
その一方で、問題を作成している出題者のアタマのなかでは、決算と申告は密接に関連していることが明らかです。
決算問題は、試算表と各勘定科目の情報をもとに法人税まで算出した処理を、出題者が受験者に検算を依頼しているとも言えます。
簿記・財表と法人税 法人税の算出過程
簿記・財表の受験上、法人税の算出過程まで勉強する必要はありません。
問題文の指示にしたがって解答すればOKです。
そうはいっても、大まかな算出過程を知っておくと、出題者のアタマのなかをぼんやり垣間見られます。
法人税の算出は、決算に基づいた税引前当期純利益をスタートに処理していきます。
処理の過程は、法人税の「別表(べっぴょう)4」で行います。
税引前当期純利益に会計と税法でのズレとなる加算・減算を調整して、課税所得を算出します。
(会計と税法のズレが税効果会計と関連したりするわけです)
課税所得をもとに法人税が算出されます(別表1)。
決算問題では、こうした過程をスルーして金額のみ示されるわけです。
簿記・財表の決算問題に直接現れませんが、出題者のアタマのなかでは決算処理→法人税算出→貸借対照表と損益計算書の完成がイメージされています。
簿記・財表と法人税 得点ゲットを超える視点もある
簿記・財表の合格を狙う上で、法人税の算出過程は不要です。
(慌てて勉強する必要はありません)
ただし、会計と法人税は密接に関連しています。
税効果会計のように会計と法人税をつなぐ仕組みは、会計にも法人税にも入り込んでいます。
会計処理を独立した仕訳で覚えるだけでは、理解が進まなくなります。
(簿記がわからない 仕訳ができればのわな)
簿記・財表の決算問題の得点とは直接関係しませんが、問題文の背後に法人税の処理があることを想定することで処理のイメージの幅は広がります。
蛇足
「雪は天からの手紙」と中谷宇吉郎は表現しました。詩的です。
「決算問題は出題者からの検算の依頼」と雲泥の差です。
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