独立開業での税金の検討順位が変化する!?
インボイス対応も要検討!
独立で開業してガンガンやっていく!という方に水を差す
というわけではありません。
税理士らしい応援と援護です。
税金の順位 検討の入れ替え?
独立して開業しようとすると、あれやこれやの検討と対応が続きます。
税理士の場合は「登録」と開業の手続きが並行することもあります。
設備らしい設備もない私の税理士事務所の開業でさえも、
てんやわんやだった記憶があります。
とは言いつつも、開業当初には、
- 開業届
- 青色申告承認申請書
といった定番の書類を税務署に届けていました。
青色申告の各種の特典を後々の税金対策に利用する
という目論見があったからです。
税理士に限らず、独立開業される方にとっては
珍しくもない発想と手続きとも言えます。
上記の発想と手続きは2023年(令和5年)も定番です。
一方で、それだけでは足りない、検討順位の変更を
加える可能性が無視できなくなってきました。
2023年10月からの消費税インボイス制度の開始です。
税金の順位 インボイスで繰り上がる!?
経理や税金の仕組みに詳しくない開業したての経営者でも、
- 収入-経費=利益
- 利益✕税率=税金
といった発想はご存じです。
(正確には「利益」から「所得」となりますが割愛)
そのため、領収書やレシートは開業以前の分から保管されていたりします。
上記のザックリした発想は間違いではありません。
ただし、ことば足らずで前提が限定的です。
上記の発想は、
- 納税する税金=「所得税」のみ
という暗黙の前提があります。
間違いではありません。
通常、独立から2年間は消費税の「免税事業者」となります。
また、売上高が1000万円以下の状態が続いていれば、
免税事業者のとどまることも可能です。
インボイス制度開始以前の経営環境であれば、
消費税を無視することもできたわけです。
一方で、インボイス制度開始以降は順序が逆転するかもしれません。
- 消費税の納税額=(受け取った消費税)-(支払った消費税)
- 「支払った消費税」はインボイス登録事業者のみ発行
- インボイス登録事業者=課税事業者
取引する相手(買い手)が消費税の課税事業者の場合、
- 「支払った消費税」が消費税の計算上マイナスできるか?
といった点に関心が集中します。
インボイス制度が始まると課税事業者にとっては、
- 免税事業者との取引 → 消費税の納税負担の増加
といった展開となります。
「80%控除」などの免税事業者との取引での経過措置があるとはいえ、
中長期では取引の相手を選ぶことになります。
インボイス制度下では、独立開業したばかりの事業者であっても
- 課税事業者?、免税事業者?
といった視点からの選別も加わることになります。
税金の順位 計画・経理・資金繰りの再検討
所得税の対応は、申告・納税の達成に限ってしまえば、
事後対応でもなんとかなります。
しかし、消費税のインボイス制度が開始されると、
- 独立以前や初期からの取引先への検討や対応も必要!
という可能性もあります。
インボイス登録手続きやインボイス発行、さらに消費税の申告・納付
といった検討や実行が必要にもなります。
消費税の課税事業者ではない一般消費者だけを取引先とする
という発想や経営は可能です。
ただし、取引の展開や拡大の結果、目論見とは異なる可能性もあります。
インボイス登録の手続きやインボイス発行の処理に加えて、
消費税の納税負担が加わる可能性も排除できません。
インボイス制度下での開業は消費税の検討や対応を
これまで以上に優先することになります。
開業以前からの取引・経理・資金繰りの再検討が必要になるかもしれません。
蛇足
開業して経営者になるためのハードルが上がりそうですね。
10年後にインボイス以前を振り返るとどんな印象になるか?
ちょっと気になります。
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