消費税の中間納付額をExcelで計算する!
手順とROUNDDOWN関数にご注意!
ちょっとしたはずのことなのに、意外に手間取ることがあります。
消費税の中間納付の金額の申告書への反映もその一つです。
落とし穴を避ける計算が必要になります。
目次
Excelで中間納付額 ちょっとした入力事項!?
所得税でも消費税でも申告書の作成は難解な印象です。
当たらずとも遠からずですが、機械的な入力箇所もあります。
たとえば、消費税の中間納付額。
前年分の消費税額が48万円を超えている場合に対象となります。
(下記「確定消費税額」には地方消費税額が含まれません)
中間納付額は消費税の前払い分となるので、申告書へ反映させます。
毎年1月になると個人の方には「確定申告のお知らせ」はがきが届きます。
中間納付額も記載されているので参考になります。
他方、はがきを紛失してしまった場合や「令和6年能登半島地震」により
被災地域では発送されない事態もあります。
前年分の申告でe-Taxを利用していれば、ウェブより確認することができますが、
申告書控えの書面しかないと手詰まりとなります。
ちょっとした事項であるはずが処理を停滞させる要因となります。
Excelで中間申告 手順とROUNDDOWN関数
消費税の中間納付額は前年度の消費税を基準に計算します。
機械的に計算するだけのはずであり、カンタンな印象です。
一方で、実際の計算では、
- 国税の「消費税」と地方税の「地方消費税」の違い
- 端数処理
- 計算手順
と落とし穴が多々あります。
ちょっとした取り違えによる僅少の金額のズレもミスとなります。
Excelで中間納付額を計算することは可能ですが、留意が必要です。
以下では個人事業主で前年分の確定消費税額が50万円だった場合の例です。
■前提
- 確定消費税額50万円→中間納付1回
- 直前の課税期間1年=12月
■計算手順
計算は国税分(中間納付税額)→地方消費税分(中間納付譲渡割額)の順で計算します。
- (直前の課税期間分の確定消費税額)÷(直前の課税期間の月数)←1円未満切り捨て
- (1.の金額)✕6←100円未満切り捨て ⇒ 中間納付国税分
- (2.の金額)✕22/78←100円未満切り捨て ⇒ 中間納付地方消費税分
■留意点
中間納付額の計算は端数の切り捨て処理が重なるため、
下記の処理は金額のズレのミスにつながります。
- 計算手順「1.」での1円未満切り捨ての未処理
- 計算手順「1.」と「2.」の逆転
- 納付金額より割戻しての逆算
以下はシンプルですが、Excelで計算した例です。
上記の例では計算過程のC・D・Eで「ROUNDDOWN」関数を利用しています。
「ROUNDDOWN」関数は以下の構文と特徴があります。
- ROUNDDOWN(数値・式,桁数)
- 「桁数」より右を切り捨てる
数値と「位」と「桁数」を整理すると以下の図となります。
「41666.66」円という数値の1円未満切り捨ての処理であれば、
「桁数」は「0」で設定することになります。
ROUNDDOWN関数は「桁数」の設定に留意が必要です。
中間納付額の計算では重要な処理となります。
Excelで中間申告 申告書をご確認ください
消費税は納税者の計算・手続きによる「申告」税です。
確定申告では申告書の提出と税額の納付があるので印象に残ります。
とはいえ、消費税は国税と地方税分がある仕組みなので、
合計額の確認にとどまることが多いかもしれません。
中間申告は基本的には申告書の提出がなく、納税額が機械的に決まります。
消費税の負担は軽くないものの、申告書をみる機会は少ないかもしれません。
それでも、提出した申告書は翌年分に影響する基礎資料にもなります。
消費税の中間納付額の計算では前年分の「確定消費税額」が必須です。
申告書をみればわかるわけですが、どこに記載があるかがわからないと、
かえってミスを発生させてしまいます。
「確定消費税額」は消費税申告書の第一表の「⑨差引税額」です。
申告書の提出と納税でホッとしつつも、申告書の確認がおすすめです。
トラブルは忘れた頃にやって来ます。
蛇足
計算の結果を利用して計算を続ける処理ではExcelの利用がおすすめです。
処理の過程を確認できるだけでなく、再現性でもプラスです。
電卓でも計算できますが、ちょっとしたストレスです。
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