営業の間口を狭くするのは残念な経営か?
千客万来を掲げない理由とは?
「いつ何時・誰であろうとも・どんな依頼でも受ける!」
とはいえません。
業務の効率性や私の経営力といった問題だけでなく、
依頼される方の不利益もあるからです。
営業の間口を狭くする理由があります。
間口を狭く オールレンジは理想か?
どんな厄介な依頼でもしっかりさばける、打ち返せることが理想
と思っていたときがありました。
税理士は税務会計といった分野に限られるとはいっても
不安や負担を軽減できる業務です。
いつ何時・誰であろうとも・どんな依頼でも引き受ける!
と掲げれば頼もしい印象です。
他方で、「オールレンジ」対応の看板が張り子の虎では残念です。
たとえば、相続税申告での「争族」状態の場合。
間口を狭く 不利益を回避を重視する申告
申告税のなかでも相続税の申告は、
- 一度の申告に対して
- 複数の相続人が存在する可能性がある
という点で所得税・法人税・消費税との違いがあります。
各相続人が単独で申告して、他の相続人を「参考」と申告書に記載する
といった選択もあれば、共同で申告することもできます。
単独か、共同での申告かといった形式的な違いだけであれば
税負担への影響はありません。
相続税は配偶者の税額軽減や小規模宅地の特例といった選択肢があります。
税負担を大きく左右する選択となり無視できません。
税負担の適用にあたっては、相続税の申告書の提出に加えて、
「分割協議書」の作成・提出も必要です。
遺産分割協議での合意を申告書に反映させることになります。
一方で、「争族」といった状況下では協議書の作成・提出はできず、
税負担の軽減も見送らざるをえない事態となります。
家庭裁判所での「調停」や弁護士に依頼して事態を打開する
といった選択を早期にとる必要に迫られます。
相続税申告に税理士が関与している場合であっても、
「争族」の解決依頼と混同されては停滞が続きます。
争族状態での相続税申告は相続人全員に不利益ですが、
税理士の対応業務として不適切な面があります。
間口を狭く 申告開始以前からの対策を!
税務申告をサポートする役割である税理士には、
- 争族状況下での依頼ではなく、
- 相続対策としての税務相談を優先
としてご依頼をおすすめします。
相続税を含めた「生前対策」がタブー視されなくなってきました。
遺言書の作成、遺産分割の検討も生前対策の一環となります。
相続税の申告では、相続人間での遺産分割の同意が
早期に達成されることで税負担の軽減につながります。
争族状態の早期の解消ではなく、予防・未然防止が優先です。
税理士としての営業の間口は狭くなりますが、
- 相続税の申告依頼が相続人の総意であること
といった前提条件を設けています。
不利益の生じない申告のサポートのために、誤解のない依頼環境
といった理解も必要と考えています。
蛇足
アイキャッチ画像は実家で撮影したハツユキカズラです。
「ハツユキ(初雪)」の名称とは裏腹に耐暑性だそうです。
見た目は涼し気ですね。
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