所得税の経費の原則と例外とその例外とは? お堅い見方で足元を固める!
ちょっと高い目線で見通しが良くなります。
イオン御経塚跡(石川県野々市市、2022年(令和4年)3月)
経費のルール 不毛な議論を避ける
税金の話題の始めは、
- お金の負担はいくらか?
- 損か得か?
といった直感的にわかりやすい切り口が一般的です。
税制改正での増税や減税が話題になるのもわかりやすい
切り口があるからともいえます。
税金への直感的なアプローチは魅力ですが、
その裏側には税法が必ずあります。
確定申告期の典型的な話題の一つに「経費」があります。
事業所得であれば所得は、
- 収入 - 経費 = 利益 → 所得
という図式なので、経費の計上に関心が集まります。
経費の計上では、
- 計上漏れを防ぐ
- 架空の経費を計上しない
- 期間の帰属を間違えない
といった留意点があります。
個別具体的な適用を確認することは必須ですが、
もうちょっと高い視点があるとベターです。
経費のルール 原則と例外
お客様と税金の話をするときに法律の条文を持ち出すことは
私の場合基本的にはありません。
身近な話が急に遠い話題のようになるからです。
急速に眠気をもよおします(お互いに(笑))
とはいえ、個別具体的な話題だけを追いかけると
かえって話の全体像がわかりにくくなります。
ちょっとカチッとした仕組みを知っておくと、
かえってスッキリします。
所得税の必要経費の原則である所得税法37条を確認すると、
- 収入に直接対応した費用
- 期間に対応した費用
という必要経費が示されています。
「原則」があると「例外」もあります。
所得税法56条です。
家族や親族間でのお金のやりとりを必要経費から排除する規定です。
家族間でのやりとりで利益(所得)を操作することでの税金逃れを防ぐ
と理解できます。
経費のルール 例外の例外とは?
必要経費の原則と例外だけでも踏み込めば
判例や事例の山です。
ややこしいことに、必要経費のルールでは
- 原則(37条)
- 例外(56条)
- 例外の例外(57条)
という仕組みがあることです。
経費の「例外の例外」とは、
- 青色専従者
- 事業専従者(こちらは白色申告)
といった意外によく知られている仕組みです。
「前条(56条)の規定にかかわらず」必要経費に算入できることが示されています。
いわゆる青色申告の特典の一つです。
「特典」という限定要素は、
- 必要経費の原則と例外
- 青色申告者のみ適用
という前提があります。
「例外の例外」のような視点で支出を経費のすべてに適用すると、
経費の計上が不透明で曖昧になります。
誤解のありそうな家事分の支出も経費にできないことが45条で示されています。
家事関連費の経費計上は、所得税法施行令96条で
- 業務上必要
- 家事費と区分できる
と経費の計上に限定条件をつけています。
お疲れ様でした(笑)。
事業所得での経費は、法律上は抽象的なピンとこない印象かもしれません。
だからこそ個別具体的な適用が必要な会計の処理には
ちょっと高い目線での判断が有効になります。
蛇足
経費の計上は話題に事欠きません。
ストレートな理解も大切にしたいところです。
(経費になるか?、ならないか?でもめない理由とは?)
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