計算過程を図解でとらえるメリットとは?
雑損控除額が決定できない!?

「法律は作る過程を見ないほうがいい」という表現があります。

出来上がっているきれいな状態と作る過程の落差を強調しているそうです。

とはいえ、出来上がっている法律もきれいとは言い難く(笑)。

一工夫必要です。

雑損控除の理解までもう一歩!

過程を図解で 綱引きと駆け引き

2024年(令和6年)12月は税制度をめぐって議論が活発になっています。

与党が単独で税制を決定できない状況のため、与野党間での綱引きや
駆け引きが続いています。

「103万円の壁」をどう動かすか注目されています。

税制度が理論や理屈だけで決まらないことがわかります。

税負担や社会保険料負擔も気がかりな対象ではありますが、
実務実行上の負擔やしわ寄せも懸念点です。

納税者の負担軽減になる制度だからといっても、
必ずしもわかりやすい制度ではないこともあります。

たとえば、所得税の「雑損控除」。

過程を図解で 雑損控除額がわからない!?

所得税を軽減する「控除(こうじょ)」に「雑損控除」があります。

2024年に発生した令和6年能登半島地震でも被災者の税負担軽減となり、
私も税理士として支援業務に参加しました。

通常の控除と異なり、雑損控除は控除の繰り越しが3年間可能であり、
能登半島地震は特定非常災害のため5年間繰り越せます。

有意義な仕組みですが、わかりやすいとは言えない面があります。

計算の仕組み、雑損控除の計算過程がすっきりしていません。

「確定申告の手引」には以下の計算過程が示されています。

上から下に向かって計算する、最後に金額を比較することはわかります。

他方で、損害に関連したデータだけで完結していないことで
雑損控除額がピンとこない印象となります。

数字・金額を当てはめていく必要はありますが、計算過程の図解がおすすめです

手引の計算欄を分解してパネル図で整理します。

まず計算欄の上部を切り出します。

損害金額や保険金額といった災害に直結しているデータとともに、
「所得(E)」が入り込んでいます。

所得控除の金額の計算過程に所得が入り込んでいるわけです。

計算欄の下部も同じように見える化します。

災害関連支出さえわかれば計算できます。

手引の設例を当てはめてみます。

雑損控除の金額が損害金額や保険金、関連支出と関連しつつも、
ストレートにつながっていないことがわかります。

過程を図解で 位置づけと効率化

公平・中立・簡素は税制度に期待したい原則です。

残念ながら期待を持ち続ける状況が続いています(笑)。

複雑でわかりにくい税金の仕組みではあるものの、
納税者に有利な選択ができる仕組みもあります。

税金での有利な選択には届け出や申告といった手続きが必要です。

手続きによっては裏付けとなる資料やデータが必要にもなります。

手続全体の過程で資料やデータが必要かを理解しておくと、
効率よく対応が進められます。

計算過程を図解することは計算の仕組みの理解だけでなく、
資料の収集や制度の効果を知る上でも役立ちます

 

蛇足
冒頭の「法律を作る過程云々」には法律の他に食品も併記されますが、
職業蔑視の感があり記載していません。
真っ当に作られている食品や従事されている方に無礼です。
食えたものではない法律とは並べられませんね。

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