個人が国庫補助金を受けたときの会計処理とは?
なりわい補助金は収入に含めない!

同じ効果を狙っている処理だけど過程が異なる
といった会計処理があります。

事業の継続・発展・復旧復興に大切な会計処理です。

決算・申告期に慌てないために理解がおすすめです。

個人で国庫補助金 令和6年能登半島地震となりわい補助金

2024年(令和6年)1月1日に「令和6年能登半島地震」が発生しました。

地震により家屋・事業所、インフラ、自然環境に多大な被害が発生しました。

2月末時点でも能登地方では断水や交通への支障が続いています。

一方で、復旧復興への各種の施策も揃ってきました。

なりわい再建支援補助金(以下なりわい補助金)」もその一つです。

事業の復旧復興を支援することに期待が寄せられます。

同時に多額の補助金を取り扱うことへの留意も求められます。

個人で国庫補助金 法人とは異なる会計処理

国庫補助金の取り扱いは「法人」であれば「圧縮記帳」の仕組みがあります。
 (課税の繰り延べは使う局面を理解する!)

補助金が法人税の課税対象とならないようにするために
経費(損金)からアプローチする仕組みです。

根拠は法人税法第42条です。

「直接減額方式」での仕訳は以下の通りです。

  • 補助金の交付 (借方)預金 (貸方)国庫補助金収入
  • 資産の取得  (借方)固定資産 (貸方)預金
  • 圧縮損の計上 (借方)圧縮損 (貸方)固定資産←補助金額
  • 減価償却費=(取得価格-国庫補助金)÷耐用年数

損益計算が関連した処理となります。

「個人」事業でも同様の仕組みがあります。

ただし、「圧縮記帳」とは異なり、収入面からアプローチします。

「なりわい補助金」でも言及されています。

国税庁の「タックスアンサー」で言及されています。
 (「タックスアンサー No.2202国庫補助金を受け取ったとき」で検索)

根拠は所得税法第42条です。

法人税法とは異なり収入金額からのアプローチです。

会計処理から上記の処理を展開してみます。

  • 補助金の交付 (借方)預金 (貸方)事業主借←国庫補助金収入
  • 資産の取得  (借方)固定資産 (貸方)預金
  • 圧縮類似処理 (借方)事業主貸 (貸方)固定資産←補助金額
  • 減価償却費=(取得価格-国庫補助金)÷耐用年数

「個人」版の国庫補助金の処理は収入や損失といった
損益計算とつながらない仕組みとなっています。

結果として、圧縮記帳と同様に国庫補助金分を課税に反映させない
といった効果となります。

個人で国庫補助金 確定申告で慌てない!

個人が国庫補助金を受け取って確定申告をする際には、
下記の添付書類も必須です。

  • 国庫補助金等の総収入金額不算入に関する明細書

「確定申告書等作成コーナー」では用意されていないので、
国税庁サイトから入手・準備ができます。

決算書には「本年における特殊事情」欄があります。

義務ではありませんが、国庫補助金や設備投資に言及することで、
経営状況の過年度との違いが強調できます。
 (確定申告の決算書でコミュニケーション!?)

多額の補助金による設備投資では固定資産の管理も重要です。

決算・申告期に慌てないための準備がおすすめです。

 

蛇足
なりわい補助金は災害からの復旧の大きな足がかりになりそうです。
反面、下記の注意喚起なされています。

中長期の事業を想定した検討が欠かせません。

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