消費税2割特例はお得と言い切れますか?
選択肢を比較検討しましたか?
納税者にとって有利な選択ができることはメリットです。
ただし、有利な選択が「できる」ことが前提です。
有利な選択肢を手放さない対策が必要です。
2割特例の損得 大山鳴動したが…!?
2023年(令和5年)9月は10月からの消費税インボイス制度開始直前で、
マスメディアでもSNSでも不安が飛び交っていました。
2011年の「地上デジタル放送移行」と同じように制度変更のために、
多数のトラブル発生が懸念されました。
2024年(令和6年)の確定申告期はインボイス制度開始以降、
初のインボイス制度対応での確定申告となりました。
「#確定申告ボイコット」といった消費税とは別問題はあるものの(笑)、
インボイス制度開始による大きな混乱はないようです。
インボイス制度開始により免税事業者から課税事業者となった場合での
「2割特例」が功を奏しているようです。
新規に課税事業者となった場合でも、
- 事務処理負担
- 納税負担
といった負担を2割特例で抑えられた影響と言えます。
一方、安堵感とは別に振り返りや検討は置き去りにされがちです。
2割特例の損得 お得と言い切れますか?
「2割特例」は「簡易課税」の第2種事業に類似した選択肢です。
課税売上高を基にして納税額が算出できます。
- 2割特例 納税負担額≒課税売上高✕2%
売上高と固定資産の売却収入の漏れに注意しておけば、
事務処理負担は大きくありません。
(個人で車の売却したときの所得税と消費税とは?)
2023年分は10~12月分の売上が課税対象だったこともあり、
税負担額も限定的となりました。
反面、上記のような2割特例の結果が今後も機械的に決まる
とは言えない問題があります。
消費税では納税者にとって有利な選択ができる余地があります。
たとえば、2割特例と本則課税。
消費税の基本的な納税負担額は下記の計算となります。
- 納税額=(受け取った消費税)-(支払った消費税)
本則課税が該当する選択肢となります。
本則課税は資料の確認、帳簿の作成、申告書の作成と
2割特例に比べて事務負担は大きくなります。
反面、「支払った消費税」が「受け取った消費税」より大きければ、
「還付」となります。
「確定申告書等作成コーナー」では2割特例を選択していた場合、
本則課税との比較が提示されます。
パッと見はわかりにくいかもしれません。
「全額控除」は本則課税での「支払った消費税」に対応しています。
控除できる仕入税額が大きいほど税負担が少なくなります。
売上や経費が同じ場合でも、選択の違いにより納税負担のだけでなく、
納税と還付の違いも生じます。
2割特例の損得 有利な選択ができますか?
インボイス制度の開始には事務負担と税負担の不安がありました。
2割特例は目前の不安解消には効果があったと言えます。
とはいえ、消費税は事業の継続に付随していきます。
事業上の固定資産の投資や臨時的な巨額の損失が無いとは言い切れません。
本則課税の事務負担を受け入れても選択する可能性はあります。
2割特例の選択を継続する場合でも留意が必要です。
2024年(令和6年)以降は1月~12月が課税対象期間です。
2割特例は2026年(令和8年)までの経過措置です。
簡易課税の選択肢があるとはいえ、事業区分次第では負担増もあります。
課税事業者であれば、
- 選択の有利不利の検討
- 納税負担の準備
といった対応が事業を継続している間続きます。
2割特例さえ選択しておけば「鉄板」とは言えません。
選択した理由と結果を振り返ることがおすすめです。
蛇足
アイキャッチ画像は実家で飾ってあった雛人形です。
雛人形は例年なら桃の節句の風物詩です。
2024年(令和6年)は大河ドラマ「光る君へ」の影響もあり、
例年より記憶に残りそうです。
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