廃業の計画には消費税の選択も織り込む!
課税期間短縮の特例を利用する!
「廃業」も事業経営の選択の一環です。
事業経営と付随の消費税も織り込んだ計画が考えられます。
「特例」の利用も見逃せない選択肢です。
廃業と消費税 特殊事情の一つ
確定申告期は個人事業主の決算書を確認する集中期です。
個人事業の決算書は法人に比べてシンプルとは言え、
事業経営が集約されたデータ・資料です。
黒字・赤字、それぞれの金額や新規の投資状況など
経営の情報が読み取れます。
数は多くないものの、決算暑の「本年中における特殊事情」に
「廃業」の文字が記載されることもあります。
(確定申告の決算書でコミュニケーション!?)
「廃業」が必ずしも否定・マイナスイメージとは限りません。
「廃業」も合理的な事業経営の判断の一つです。
経営判断には選択肢の検討と実行があります。
「廃業」では消費税の選択や見直しも対象となります。
廃業と消費税 タダでは済まない、済ませない
廃業は事業の終焉ではあるものの、タダで済むとは言えません。
たとえば、設備の廃棄や整理。
工場や生産設備の廃棄や撤去もコストのかかる投資となります。
設備の投資は購入のプラスであれ、廃棄・撤去のマイナスであれ、
消費税の課税取引では同等です。
消費税の基本的な計算の仕組みは以下の通りです。
- 納税額=(受け取った消費税)-(支払った消費税)
所得税や法人税とは異なり、消費税では「還付」もあります。
- (受け取った消費税)<(支払った消費税) → 「還付」
「還付」とはならないまでも、「支払った消費税」が反映されると
納税負担が軽減できることになります。
簡易課税や免税事業者にとって、基本的な計算の仕組みである
「本則課税」を選択する余地があります。
反面、消費税制度の「課税期間」は大きな壁になります。
廃業と消費税 課税期間短縮の特例を利用
消費税の課税事業の選択や簡易課税の選択は基本的に
課税期間「前日」までに提出する必要があります。
廃業を期中に計画した場合には手の打ちようがない
ようにも思えます。
「課税期間の特例」はそうした際に選択の可能性が出てきます。
通常1年間の課税期間を「3か月ごと」または「1か月ごと」に短縮できます。
個人事業主で「3か月ごと」であれば、
- 1月1日から3月31日まで
- 4月1日から6月30日まで
- 7月1日から9月30日まで
- 10月1日から12月31日まで
といった課税期間となります。
(法人であれば事業年度の初日から同様に考えます)
税務申告は煩雑となりますが、税負担の軽減や還付の機会が作れます。
簡易課税を選択している課税事業者であれば、
- 「消費税簡易課税制度選択不適用届出」
免税事業者であれば課税事業者となるために、
- 「消費税課税事業者選択届出書」
と「消費税課税期間特例選択届出書」を同時に提出することになります。
「廃業」も事業経営の一環であり、消費税は事業経営に付随します。
事業者に有利な選択の余地として、消費税の課税期間短縮の特例は
検討してみる理由があるはずです。
蛇足
アイキャッチ画像は実家で撮影したふきのとうです。
2024年(令和6年)2月は石川県でも気温が20℃を超えたりと
気温が乱高下しています。
春と冬が行ったり来たりの日が続いています。
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