雑損控除を図解からイメージする!
災害被害の税金面での事後対応
残念なことですが、避けられない災害があります。
所得税の申告が災害の事後対応になることもあります。
申告の全体像を確認しておくことがおすすめです。
雑損控除をイメージ 事後対応しかない
給与所得者の年末調整であれ、その他の所得税申告であれ、
円滑な申告には事前準備が欠かせません。
年内に所得税確定申告の着地見込みが立っていれば、
年明けには申告手続きと納税にとりかかれます。
所得税の仕組みは毎年少しづつ変更されていますが、
基本的な枠組みは変わっていません。
ルーティン化が見込める処理は早めにたいおうできるはずです。
他方、年末調整では対象外、確定申告でも扱いが少ない処理は
対応が遅れたり、見送りがちになります。
「雑損控除(ざっそんこうじょ)」はそうした対象と言えます。
雑損控除をイメージ 控除額の位置づけとイメージ
雑損控除は「所得控除」の一つです。
医療費控除と同じく所得控除であり、年末調整では扱わず、
確定申告のみで取り扱います。
(医療費控除を図解からイメージする)
雑損控除は盗難や横領だけでなく、自然災害による資産への損害を
所得税の税負担の面でカバーする仕組みです。
所得税の計算は以下の通りです。
- 収入 → 所得
- (所得-所得控除)✕税率=所得税
「所得控除(こうじょ)」が大きければ税額は小さくなります。
災害で被害を受けた際の「損失」や「支出」を控除に反映させることで
所得税の負担を抑えることができます。
復旧や復興を後押しする仕組みですが、
- 損失や支出額が直接控除されるわけではない!
といった留意点があります。
雑損控除の額は、下記のいずれか多い方の金額となります。
- (損害金額+災害関連支出額)-(保険金+総所得✕10%)
- 災害関連支出-5万円
計算上、わかりにくいのは「損失(損害金額)」の額です。
基本的には資産の被災前の時価と被災後の時価の金額の差額ですが、
「合理的な計算方法」での対応が可能となっています。
- 住宅
- 損失額={(1㎡当たり工事費用✕総床面積)-減価償却}✕被害割合
- 家財
- 損失額=家族構成別家庭用財産評価額✕被害割合
- 車両
- 損失額=(取得価格-減価償却費)✕被害割合
雑損控除をイメージ 繰り越しもある!
雑損控除の仕組みは必ずしもわかりやすいとは言えず、
処理に慣れる機会は多くありません。
他方で、雑損控除の利用で所得税の負担を申告年だけでなく、
翌年以降3年間控除を繰り越すこともできます。
災害からの復旧復興には時間もお金も必要です。
雑損控除をその他の所得控除と合わせて利用することは
有効な選択肢となります。
蛇足
雑損控除と選択適用となる仕組みに「災害減免法」の選択があります。
申告手続きでは雑損控除を準備することが優先です。
「確定申告書等作成コーナー(国税庁)」では自動で有利な方を選択できます。
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