税金の負担額を目算できますか?
税目や税率よりも計算の仕組みの理解が大切です!
「暗算は得意ですか?」と尋ねると苦笑いされます(笑)。
「ザックリ検討がつきますか?」と別の質問をしてみると、
反応が分かれます。
目分量でもお金の管理には差があります。
税金の目算 不安が渋滞する!?
2月から3月の確定申告期は税務相談が集中します。
具体的な取引や資料をもとにした問い合わせもあれば、
漠然とした不安の訴えもあります。
税金に関連した不安という点では一致していますが、
漠然とした不安の訴えは応答が噛み合わないこともあります。
たとえば、納税額の問い合わせ。
対象の税目が明確で資料が出揃っている場合であれば、
具体的な金額が示せます。
一方、所得税や消費税といった税目の違いを無視したり、
税率だけでの税負担を早合点されると話が進みません。
納税の不安が漠然としていると、不安の渋滞をこじらせます。
渋滞には交通整理での解消が必要です。
税金の目算 税目よりも税率よりも計算過程
税金の種類である税目は50以上あります。
それぞれの税目は個別の法律で裏付けられています。
異なる税目や税率などを比べても、税負担額の計算では的が外れます。
たとえば、所得税は所得区分が10に分かれているだけでなく、
「超過累進税率」構造の税目です。
- 区分:利子・配当・不動産・事業・給与・退職・山林・譲渡・一時・雑
- 税率は下記の一覧です
所得金額の区分ごとの税率と控除額の適用に留意となります。
以下では事業所得を前提にします。
事業所得では、
- 「収入」と「所得」の違い
- 「経費」と「所得控除」の違い
といった計算の過程での理解が必須となります。
計算の過程は事業損益の計算(会計)→所得税の計算(税金)です。
- 事業損益:収入-経費=利益≒所得
- 所得税の計算:(所得-所得控除)✕税率=所得税
上記の計算過程を前提にして税負担を目算するのであれば、
- 収入(売上)はいくらですか?
- 利益はいくらくらいですか?
- 社会保険料や小規模企業共済の控除額はいくらですか?
と確認していくことになります。
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あるいは消費税。
所得税のような納税額算出のための複数の税率構造はありません。
本則(原則)課税を選択している場合は以下の計算が骨子となります。
- 納税額=(受け取った消費税)-(支払った消費税)
本則課税とは異なり簡易課税や「2割特例」を選択しているのであれば、
売上高や業種により税負担の目算が可能です。
簡易課税での納税額は下記の計算となります。
- 納税額=課税売上高✕10/110✕(100-みなし仕入率)
- 「✕10/110」は課税売上高から消費税分を分けています
- 「✕(100-みなし仕入率)」で本則課税と同様の計算構造にしています
「2割特例」であれば売上高の約2%を納税額とする第2種事業と同等です。
目算が立てば、漠然とした不安や納期限直前に慌てることが防げます。
税金の目算 経理から資金繰りの想定へ
税務申告書はどの税目でもフワッとした金額では済みません。
最終的にはカチッとした金額で申告して納税することになります。
一方で、目算による税負担の把握はおすすめです。
個人事業主の納税であれば、2~5月に納税となります。
経営者や家族の都合次第でお金の支出が重なる時期でもあります。
5月以降も自動車税・住民税・固定資産税と納税負担は続きます。
目算による税負担の想定は、事業も生活も含めた資金繰りにつながります。
税負担を目算できるようにするためには適正でタイムリーな経理が必要
ということも実感できます。
納税額の目算ができるかどうか?といった問いかけは。
翌年以降の見直しにもつながります。
蛇足
アイキャッチ画像は散歩中にみかけた椿です。
冬は花が少ない季節なので椿は目立ちます。
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