消費税の申告書の選択理由を説明できますか? インボイス登録だけが準備じゃありません!
当事者が余裕綽綽だからといっても理解しているとは限りません。
知らないから不安がないだけかもしれません。
そんな話は聞いてない!、というオチがありえます。
ややこしい話の前に心を落ち着けて
インボイスへの道 登録だけが準備?
2023年(令和5年)10月より消費税の「インボイス制度」が始まります。
消費税の税率が変わるわけではなく、
- 消費税納税額 = 受け取った消費税 - 支払った消費税
という式での「支払った消費税」の裏付けが強化される
といった仕組みがインボイス制度として導入されます。
「課税事業者登録番号」という13桁の番号を請求書などに明示します。
制度開始に合わせて取引先にインボイスを発行するためには、
2023年3月31日までに課税事業者への登録が求められています。
うっかり早合点すると、
- 課税事業者登録をする
- インボイス発行手続ができるようにする
といったことでインボイス対応が整うと誤解しそうです。
インボイスへの道 登録だけが準備じゃない!?
インボイス対応の準備では、登録や経理手続きの確認も必要です。
インボイス制度開始以前より消費税の課税事業者の場合、
上記の手続きを中心に進めることになります。
一方、免税事業者が課税事業者となる場合には、
登録や経理処理の確認だけでは不十分です。
所得税の「決算書」では、
- 青色申告
- 白色申告
といった選択が可能です。
消費税では売上高が5千万円以下の場合、
- 原則課税
- 簡易課税
という選択肢があります。
納税者にとって有利な選択ができます。
ここで問題になるのは納税上「有利」となる根拠を把握しているか
ということです。
一般論として「簡易課税」を選択している場合
- 経理処理の負担が小さい
- 原則課税に比べて税負担が抑えられる
といったメリットがあげられます。
曲者ともいえるのは、「一般論として」という前提です。
個別具体的な事業者の税負担を一般論だけでは決められません。
免税事業者がインボイス制度の課税事業者登録をするにあたっては、
制度開始後の税負担額のシミュレーションも準備の一つになります。
インボイスへの道 根拠は手元にあるはず!?
シミュレーションには、根拠となるデータや資料が不可欠です。
といっても、特別なデータや資料を取り寄せる必要がありません。
事業者なら手元で把握しているはずの決算書や帳簿があれば充分です。
シミュレーターとしては、「確定申告書等作成コーナー(国税庁)」が
利用できます。
今年や来年以降の想定は、上記のシミュレーションを踏まえて、
ExcelやGoogleスプレッドシートなどを使えば可能です。
書類を提出するだけのインボイスの課税事業者登録と比べると
シミュレーションはアタマが痛くなるかもしれません。
免税事業者のインボイス対応の問題がようやく明らかになる
ともいえます。
インボイス対応への準備には検討の過程が欠かせない
と納得いただければ幸いです。
蛇足
有利な選択が可能という制度では、損に敏感になります。
比較の根拠が曖昧だと、損得勘定が先送りになります。
その結果は、「そんな話は聞いてない!」となります…
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