税務調査は紛争の入り口です 不服申立制度とその結果
クレームをつけるためには根拠と持久力が必要です。
勧進帳 最中(ふがく堂・石川県野々市市)
不服申立 窓口や職員へのクレームは不毛
不満がある、主張したい意見があるということがあります。
合理的な見解や妥当な裏付けがあるなら、理不尽な状況を放置
すべきではありません。
とはいえ、感情を爆発させては事態はこじれます。
たとえば、税務調査。
税務署からの調査の結果、修正申告を求められたり、更正処分など
がとられるケースがあります。
納税者側が税務署と異なる見解を持つこともあります。
そうしたときに税務署の窓口や職員に向かってクレームをつけても
不毛です。
不服を申し立てるにもルールがあります。
不服申立 不服申立制度のルート
マルサの査察ならば、告発→起訴と裁判所へ一直線です。
(マルサの報告を読んでみよう! 脱税の傾向と対策)
闘いは法廷からスタートです。
上記とは別に、通常の税務署からの行政処分では、納税者の段階的な
救済措置の仕組みがあります。
「不服申立制度」です。
(本稿では国税を前提にします)
ごちゃごちゃしているようですが、要点は以下の通りです。
■一足飛びに裁判所に訴えることはできない
■税務署の処分へのクレームは、
・処分→税務署への再調査→国税不服審判所
・処分→国税不服審判所
■国税不服審判所でも納得がいかないなら、裁判所へ
税金の関係した行政と納税者とのトラブルの件数が多く、
専門性が強いため、上記のような仕組みとなっています。
不服を申し立てるルートには「再調査」と「国税不服審判所」があります。
不服を早期に解決できる見込みがある場合、処分をした税務署に
再調査を請求することもできます。
不服申立制度のメインは国税不服審判所への審査請求です。
国税不服審判所は税務署や国税局とは別の第三者機関として位置付けられています。
私の住んでいる北陸では、金沢市に金沢国税局と金沢国税不服審判所がありますが、
所在地も別々です。
ウェブ上でも国税不服審判所は国税庁とは別のサイトです。
行政機関ではありますが、国税審判官には弁護士や税理士も加わっています。
(特定任期付職員という仕組みで2~3年)
不服申立 いざというときの傾向とデータ
国税庁は年に1回、不服申立制度のデータを公表しています。
再調査・審査請求、訴訟ごとに件数と結果が示されています。
■再調査。
令和2年度は1,000件の請求でした。
再調査の処理結果では、認容(納税者勝利)が10%となっています。
■審査請求
令和2年度は2,229件でした。
請求件数の内訳は、ダイレクトに審査請求が1,593件、再調査経由が636件です。
審査請求の処理結果は以下の通りです。
認容は10%と再調査と同等といったところです。
■訴訟
令和2年度の件数は165件です。
再調査や審査請求に比べるとグッと少なくなります。
終結状況は以下の通りです。
敗訴している側は行政側なので、納税者勝利です。
納税者にとっては厳しい結果が多いようです。
トラブルは予防・回避することがベターです。
とはいえ、救済措置があることを知っておけば、
いざというときの選択肢がみえてきます。
蛇足
不服申立をひらがなで表すと「ふふくもうしたて」と
意外にやんわりした字面です。
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