事前登録型本人通知制度をご存知ですか?
自治体レベルでの個人情報保護

個人情報の保護やプライバシーの保護は浸透しているようですが、
自ら実践している機会はピンとこないかもしれません。

具体的な手続きがともなう仕組みがあります。

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本人通知制度 いつの間にか請求?

税理士業はパソコンに向かって黙々と事務処理を進める
という印象があります。

私も従事する以前はそういった印象を持っていました。

そうした印象は間違いではないのですが、

  • お客様への対応
  • 調査や情報収集

といった業務ともセットとなっている実態があります。

たとえば、相続税の申告。

財産評価や遺産分割といった税負担に直結する業務もありますが、
戸籍謄本や住民票の写しの収集といったことも業務となります。

戸籍法でも税理士が職務上、戸籍謄本・住民票の写しの請求を
請求できることになっています。

個人の繊細な情報でもあるので、取り扱いは疎かにできません。
 (職務権限と戸籍謄本・住民票の写しの請求)

とはいえ、プライベートな情報をいつの間にか請求されている感覚は
不安を感じる面があります。

事前登録型本人通知制度」はそうした反応に対応した仕組みです。

本人通知制度 自治体ごとで対応

「事前登録型本人通知制度」は、

  • 戸籍謄本・住民票の写し等を代理人や第三者が請求した場合に、
  • 自治体から事前に登録した方に通知することで、
  • 不正請求及び不正取得による個人の権利・利益の侵害の防止を図る

といった仕組みです。

全国統一ではなく、自治体ごとでの手続きがとられていることや、
登録が任意・希望者のみという仕組みに特徴があります。

「事前登録型本人通知制度 〇〇自治体名」で検索することがおすすめです。

たとえば、金沢市では令和5年(2023年)10月2日より制度が開始されます。

登録できる方や必要な書類は以下の通りです。

通知の対象となる証明書と通知内容は以下の通りです。

誰が・何の目的で証明書を請求したかは通知されない仕組みです。

不正請求や不正取得による個人情報の侵害の防止の仕組みであり、
職務遂行上の請求とのバランスが図られているようです。

本人通知制度 個人情報収集と相続税申告

相続税の申告手続きを進める上で相続人であるお客様の協力が必要
という面は多々あります。

個人情報を証明する書類の準備もその一つです。

相続人本人に戸籍謄本等を準備していただく選択もありますが、

  • 高齢で外出に支障をきたす
  • 生活や仕事の都合上負担となる

といった場合もあります。

私も税理士として戸籍謄本等の請求をすることがあります。

職務上の請求とはいえ個人情報の収集でもあるので、
相続人であるお客様には請求したことをお伝えしています。

相続税の申告は遺産分割や税負担が関心事の中心ですが、
個人情報の取扱も見逃せない一面があります。

相続税の申告の際には個人情報の取扱も手続きの一環
とご理解していただくことになります。

 

蛇足
「事前登録型本人通知制度」は窓口・郵送での手続きが目立ちますが、
オンライン・電子申請に対応している自治体もあるようです。

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