うちは特殊です、を整理する

慌てない、驚かないためにです。


共通と個別

うちは特殊です  地味に変換する

税務会計業務でよく聞かされるフレーズがあります。

「うちは特殊です」

発言されるのは、お客様です。

新たに業務対応させていただく場合、お客様にインタビューします。
事業形態・事業規模・商流などです。
これまでの経理状況もお尋ねします。

これからビジネスを始められる方には、税理士や会計事務所からアドバイスしていきます。

すでに事業展開されているお客様からは、まず現状の把握をさせていただくわけです。

そうしたインタビューのなかで、上記のフレーズが登場します。

意外と思われるかもしれませんが、税理士はこのフレーズに驚きません。
会計業界あるあるだからです(笑)。

決算にしろ申告にしろ着地地点があります。
 (すべてを地味にする申告書 キラキラ感がなくなる理由)

税務会計業務では、決算書や申告書を目指して個別性や特殊性を地味に変換します。

とはいえ、特殊という発言をスルーするわけではありません。

うちは特殊です 何が特殊か・どう特殊か

お客様が「うちは特殊」と言ったときに確認するのは、
・何が特殊なのか
・どのように特殊なのか
といった要素です。

業種や業務形態によっては、仕事の繁忙期があるかどうかを特殊と捉えるかもしれません。
たとえば、会計事務所は冬から初夏が繁忙期とされてる特殊性があります。
業務量や収益が偏る可能性があります。

あるいは、取引のやり取りに特徴があるのかもしれません。
私の実家はかつて酪農業を営んでいました。
毎日生乳を出荷していました。
乳業メーカーに運ばれて、牛乳という商品として販売されていました。
このように表現すると、農家とメーカーが直接取引している印象です。

しかし、実際の取引は生産者で作る団体とメーカーとの間で行われています。
毎月の 取引の決済は、組合を通じて各農家に精算書が送られていました。

また 、内部管理の一環として部門別計算を導入している企業もあります。
月次決算で経営管理をするためです。
費用の配賦では、その企業の経営実態を反映する方法にカスタマイズされます。

こうした管理も特殊と表現されます。

うちは特殊です  特徴を活かす

特殊というのは、言い換えれば個性です。

現時点だけの特徴を表していません。
過去の取引や経営を反映してもいます。

また、現在から将来に向かって経営上何らかの特殊性を帯びることもあります。

個性を活かすためにも、何を目指している特殊性なのか把握しておく必要があります。

個別の特殊性を追いかけすぎると、視野が狭くなります。
特殊性のある現実を、一般性や共通性でちょっと引いて観る必要もあります。
税理士や会計事務所の利用価値には、そうしたちょっと離れた視点にもあります。

 

蛇足
お客様に「うちは特殊」と言われても慌てません。
ただし、うちはよくあるケースだよ、と言われても気が抜けません(笑)。

<ご案内>

■林友範税理士事務所

ご依頼はこちら

■災害と税金の情報

災害と税金