キーパンチャーとは
昭和というより20世紀の名残でしょうか?
袋の中身は・・・
キーパンチャー パンチできます?
就職活動というより、転職活動が多かったのでいろいろな業種の方とお会いする機会がありました。
業種や規模の違いはあったのですが、面談の際にはどこでも似たような質問がされた記憶があります。
たとえば、志望動機や趣味などです。
税理士も志望していたので、会計事務所の求人にも応募していました。
簿記の資格もあったり、どこかの会計事務所での就業経験があるとよりつっこんだ質問もされました。
よくある質問では、担当件数や担当先の事業規模でした。
ほとんどの会計事務所が即戦力重視なので、経験を確認したいわけです。
とある会計事務所に応募したときに電話口で尋ねられたのが、「パンチできます?」でした。
「上等だッ!」と応じるほど短絡的ではなく、会計事務所はヤ〇ザな業界なのかという印象が残りました。
(この会計事務所は、経験者重視のため応募は辞退しました)
会計事務所で使う「パンチ」という表現は、パソコンへのデータ入力のことだと後日知りました。
「キーパンチャー」募集という告知も最近は見かけなくなりましたが、かつては会計事務所のスタッフ募集で見かける内容でした。
紙テープやパンチカードを利用した時代のデータの入力の表現が、会計業界では現役ということに驚いた記憶があります。
キーパンチャー 記帳代行というビジネスモデル
会計事務所というと、お客様から資料を預かり帳簿を作成して、決算書や申告書を仕上げる仕事をしているイメージです。
私も会計事務所に勤めてみると、確かに上記の仕事内容でした。
とはいえ、実際に担当するお客様により仕事のイメージは変わっていきます。
事業規模や社内のスタッフが充実していると、取引データの入力は完了しており、経営者の方にとって月次(げつじ)での関心は、部門別の損益管理が中心だったケースもあります。
その一方で、年一(ネンイチ)の担当先では袋一杯の領収書・レシートと銀行口座の通帳コピーから帳簿を作成する処理が中心でした。
年一は極端なケースですが、現在でも通帳コピーと領収書・レシートを会計事務所に丸投げしている経営者の方は大勢います。
(税理士業界の収益構造 月次って何?、税理士業界の収益構造 年一(ネンイチ))
サービスの需要があるから、会計事務所がサービスを提供(供給)しているわけです。
会計事務所からみると、記帳代行から決算・申告での収入が期待できる面もあります。
キーパンチャー 丸投げに魅力の象徴
クラウド会計やフィンテック、データ連携と会計業界でもオンラインを前提にした処理が目立っています。
生産性・効率性や速報性を重視すると、新しい技術の導入に前向きになります。
その一方で、経営者の方での事務処理への忌避感・これまでのやり方への固執・お金の管理の先送りが続くと、丸投げによる記帳代行の需要も残ります。
会計事務所側でも、安定した収入としての丸投げの受注とそれにともなう記帳代行を続ける意味があります。
キーパンチャーに象徴される記帳代行の業務は、技術の問題よりもサービスを委託する経営者側の期待と受注する会計事務所側の収益構造ゆえに残る可能性があります。
蛇足
会計事務所勤務時代の同僚が大量の入力をこなすことを「鬼パン」と称していました。
大量の入力という業務とそれが前提の職場ということで、「悪魔vs悪魔」という印象が残りました(笑)。
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