税理士業界の収益構造 年一(ネンイチ)

ラーメンの話じゃありません。


対応はなかみ次第。

年一 どういうケースでありか

税理士業界でメジャーな契約スタイルである「月次((げつじ))」については以前紹介しました。
(税理士業界の収益構造 月次って何?)
今回は月次と同じくらい業界ではよく知られている契約スタイルの「年一(ネンイチ)」について紹介します。

名称の通り、年一回は必須の税務申告のみを請け負うという契約スタイルです。
相続税のような単発の業務と同じかとも思われますが、税理士業界での年一スタイルは、あくまで継続した業務という性格です。
(確定申告での〆切ぎりぎりの飛び込み案件は、年一というより単発的な性格かもしれません)

一般に事業活動を経理面からとらえると、一か月が区切りがよく、それ故に月次という契約スタイルになります。
しかし、極端に取引が少ない経営状態では、月次処理がお客様と会計事務所双方に煩雑になり、さらにコストパフォーマンスの面からも良好な関係が続かないケースがあります。
たとえば、とある一人社長の企業で本業はわずか、副収入だったはずの不動産収入がむしろ今では収入の中心というケースが考えられます。
収入の大半が定期的な不動産収入で、費用もごくわずか、従業員なし、借入なしの場合では、業績の管理や経理の適正な運用という月次スタイルとではミスマッチです。

収入や費用の計上漏れを確認しつつ、年一というスタイルにも合理性があります。

なお、年一スタイルでは記帳から申告書作成までのいわゆる丸投げでの業務処理が目立ちます。

年一 どういうケースでNGか

年一がNGなケースは、以下のような経営状況の場合です。
・売上高が大きい
・店舗や支店が複数
・部門別で業績管理
・従業員スタッフ多数
・借入金が大きい
・複数の銀行から借入
こうした状況では、会計事務所と月次での契約がメジャーですし、組織内での経理担当もはっきりさせておく必要があります。

上記のような年一NGのケースは言わずもがなという経営状況で、会計事務所との契約スタイルで悩むこともありません。
言い換えると、月次が択一というわけです。

判断に困るのは、年一ほど処理がシンプルではなく、かといって月次が必要なほどではないケースです。

年一 月次でもなくその他の選択肢

フリーランス・個人事業主の方や法人でも一人社長という方にとっては、必ずしも会計事務所との契約が月次で合理性があるとはいえません。
といって、年一では業績把握に手間取ります。

月次でもなく、年一でもないが会計事務所のサービスを利用したいという場合は以下の選択肢があります。
・隔月での契約
・経理や決算申告でのスポットでのサポート利用

上記の内、隔月での契約は一般的です。
2か月、3か月ごとに記帳代行で契約して、決算申告にいたるケースです。
経営状態によっては、コスパや経理や申告の面からも合理的かもしれません。
しかし、業績の把握や管理を会計事務所に丸投げしていれば、タイムリーな経営判断で支障をきたす可能性もあります。

これに対して、会計事務所の専門性をスポットで利用するというスタイルもありえます。
言い換えれば、経営者の方が経理だけでなく決算や申告まで行うことも想定したスタイルです。
経営者の方が独力で経理から決算申告を続けることは困難ですが、厄介な処理のみ会計事務所のサポートを利用するわけです。
丸投げでのスタイルとは逆に慣れるまでの敷居は高いかもしれません。
その一方で、コスパや業績管理、経営判断の迅速性では強みがあります。

経営状況の変化や経営スタイル次第で、会計事務所との契約スタイルの変更もありえます。

 

蛇足
月次より短い期間の契約スタイル(週次?)は、聞いたことがありません。

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