数字が固まるとは

なんとなく使っている曖昧なことばになっているかもしれません。


コバンソウ。金運が高まりますように。

数字が固まるとは どんなときの数字か

決算の締め切りが近づくと、「数字が固まる」という表現をよく耳にします。
数字が金額を表していることはわかるのですが、どんなときの数字を、なぜあらためて「固まる」という表現をとるかは曖昧な印象かもしれません。

また、「数字が固まる」という表現をとる場合でも、大手メディアでは企業の業績見通しについても表現することがあります。
ことばの使い方を曖昧にしておくと話が噛み合いません。
企業の業績見通しが「固まる」という表現は、大手メディアが上場企業の今後の動向を報道するときに使う表現です。
フリーランスや個人事業主、中小企業では一般的な表現ではありません。

「数字が固まる」という表現は一般的に、決算時点での貸借対照表や損益計算書に関する金額が確定するということです。

数字が固まるとは 集計だけでは固まらない

貸借対照表や損益計算書の金額は事業活動を反映したものなので、取引資料の収集と入力をして集計が済めば自動的に確定するような印象があります。
しかし、「数字が固まる」という表現には資料の収集と入力や集計だけでは金額が確定しない(=固まらない)という意味も込められています。
別の見方をすると、資料の収集と入力や集計だけでは数字が固まることの必要条件しか満たしていないともいえます。

つまり、「数字が固まる」という状態には十分条件がいるということです。

例えば、売掛金をとりあげてみます。
決算時点での売掛金の金額が確定して、帳簿の金額と一致したときに売掛金の金額が固まったということになります。
モノやサービスを提供した段階で売上を計上して、売上の相手勘定として売掛金が計上されます。
(借方)売掛金 / (貸方)売上
現金取引以外では、各月ごとに売上や仕入の請求の締め日があります。
(例:毎月20日締め、翌月5日払いなど)
このときに、締め日と決算日(月末)は不一致のケースが多々あります。
言い換えると、締め日から決算日までの売上を別途計上しておく必要があるということです。

こうした発生主義にもとづく会計処理を前提にすることで、「数字が固まる」という十分条件にいたります。
(発生主義のわかりにくさを理解する)

数字が固まるとは  ゴールとスタートは一緒

数字が固まるという会計の状況は、決算時点での金額の確定ということには止まりません。

貸借対照表の金額は、期末=翌期の期首です。
また、貸借対照表の金額は損益計算書に影響が及んでいくものでもあります。
(たとえば、固定資産や繰延資産の償却や引当金などです)

「数字が固まる」という表現は決算の一時点の状況を表しています。
その一方で、決算時点は事業活動が継続していく通過点にという視点もあります。

「数字が固まる」には、どのように取引を認識して貸借対照表や損益計算書に計上するかという判断が処理の背後にあります。

 

蛇足
「固まる」以前の状態を「動く」と表現することが一般的なので、「(金額が)静かになる」でも良さそうですが、使われていません。

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