相続税がかからないにご注意!
基礎控除・非課税・配偶者軽減・特例・猶予・延納
不安なときにわかりやすい日常的なことばを聞くと
ホッとします。
ただし、うっかり早合点してしまうと、
後でドキッとすることになります。
税金がかからない 不安を解消?
不安を解消する手段でもあり原因でもあるのがお金です。
日常的に扱うお金であれば大きな不安の原因にはなりませんが、
- 長期
- 巨額
- 投資
- 借入
- 税金
といった内容と関連すると不安がつきまといます。
たとえば、相続税。
「相続」といった機会は人生のなかで何度もありません。
一方で、メディアではトラブルの伏魔殿のような扱いがあります。
相続に関連した相続税も不安の要因にになります。
そうした不安に陥っているときに、
- 税金がかからない!?
というフレーズは飛びつきたくなるかもしれません。
飛びつく前に一呼吸がおすすめです。
税金がかからない 使用する内容と段階
「税金がかからない」はパッと見るとわかりやすいのですが、
曖昧な表現です。
示している内容や状況をザックリまとめているフレーズなので、
中身を分けて理解しておく必要があります。
まず、相続税の基礎控除。
- 課税遺産額=(相続する財産)-(基礎控除)
- 基礎控除=3000万円+(法定相続人✕600万円)
「基礎控除」が「相続する財産」より大きければ、
文字通り相続税はかからない(ゼロ)となります。
上記とは別に「非課税財産」の区別に留意する必要があります。
- 仏壇や仏具などの祭祀に関わる財産
- 生命保険金(法定相続人✕600万円) etc
非課税財産は相続税の計算上含まれない財産です。
結果としては税金がかからない財産となりますが、
計算上は区別して理解することになります。
「配偶者の税額の軽減」や「小規模宅地の特例」は要件を満たした場合、
相続税額の軽減が可能となる仕組みです。
相続税がかからなかったり(ゼロ)、税負担が小さくなりますが、
分割協議の成立や申告などの条件付きとなります。
「猶予」は相続税の申告にともなうはずの「納税」の延期です。
たとえば、農地の相続とかかわる納税の猶予。
農地の相続で選択が可能になりうる仕組みですが、
- 適用要件
- 選択後の手続きや制約
と手放しに喜べる選択かはわかりません。
そして「延納」。
相続税の申告にともなう納税は基本的に現金一括となります。
しかし、税負担額や相続人の経済状況次第では、
- 納税のスケジュール調整が必要
という事態もあります。
延納を選択すると利子税の負担は追加されるものの、
無申告加算税や延滞税といった無申告とは扱いが異なります。
延納では時間的な調整を図ることになります。
想定外や不測の「税金がかからない」が可能になります。
税金がかからない ことばの整理が負担軽減へ
「税金がかからない」はわかりやすいフレーズですが、
受け止め方次第で誤解やトラブルの原因になります。
事業での所得税や法人税、消費税は経営者に知見があれば、
税負担を想定することができます。
一方、相続税は経験の蓄積が効きにくいという税金であり、
相続人が相続開始後に対応することもあります。
準備万端で対応ができるとはいえない相続人は珍しくありません。
不安の大きい相続税の申告・納税の手続きを前にして、
「税金がかからない」は無視できないフレーズです。
とはいえ、確認や誤解があると残念な結果にもなります。
不安な対応だからこそ、ことばの整理がおすすめです。
お金と心理的な負担の軽減につながります。
蛇足
アイキャッチ画像は街路樹のはサルスベリです。
炎天下に負けない華やかさがあります。
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