財務分析や経営指標は準備が必要です!

おいしいところをいただく前に、下ごしらえです。


ソメイヨシノの置き土産

分析や指標の前 経営者も金融機関も注目するが

経営者とのお話で話題になることに、財務分析や経営指標があります。

同業者や同規模の会社と比較して、自社の現状が知りたいからです。
経営者がもっている不安な心理状態を何らかのかたちで見える化したい
という欲求が、数字で表される分析や指標に期待されています。

財務分析や経営指標は経営者だけでなく、金融機関といった第三者も
関心をもっています。

2021(令和3年)4月以降の融資環境で注目されている「ローカルベンチマーク」でも
6つの経営指標が取り上げられています。
また、この指標は「経営行動計画書」といった融資にも反映されています。
(ローカルベンチマーク(ロカベン)とは? 財務分析編)

無視できない財務分析や経営指標ですが、
分析以前の確認が必要です。

分析や指標の前 決算書だけではわからない!

ロカベンでもとりあげられている経営指標に「営業運転資本回転率」があります。

営業運転資本回転期間とは、月商に対してどれだけの割合の運転資金が必要か
という指標です。
(1か月の売上と経営に必要なお金の割合です)

事業の継続はお金の有無で決まります。

営業運転資本回転期間は、経営に必要なお金と売上のバランスの指標となります。

式を一見すると、損益計算書や貸借対照表といった決算書さえあれば
計算はできそうです。

しかし、計算に使う数字(金額)の取り扱いに注意が必要です。

たとえば、指標の計算式の分子には売掛金や棚卸資産があります。

適正に計上されているなら、会計上も経営指標にも問題ありません。

その一方で、不適切や不充分な処理によって計上されている場合、
経営指標は誤解のもとになります。
不適切や不充分な処理としては、
・架空売上債権
・滞留債権
・滞留在庫
などがあります。

経理処理だけでなく、本来とるべき経営判断を先送りした数字では
経営指標は経営者も金融機関も誤認させることになります。

財務分析や経営指標が経営を見通すツールであるためには、
まず適正な会計判断や経理処理が前提です。

分析や指標の前 比較、比較、比較

財務分析や経営指標は一旦算出してしまえば完了、
ではありません。

自社の経営を比較するなら過年度との比較が、
同業他社や同規模他社との比較、
現状と将来の計画との比較
といった財務分析や経営指標を利用した分析が必要です。

経営の成績や状態を圧縮した分析や指標は魅力的なツールですが、
まず計上されている数字(金額)を確かなものとすべきです。

誤った数字での比較はトラブルの先送りや誤解のもとになります。

 

蛇足
経営指標は漢字やアルファベット表記が目立ちます。
ひらがなで書かれていると、立派にもみえないんですが。

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