マイナス残高の計上は効率化になるか?
効率化には制約がある!?
「マイナス」という表現からポジティブな効果が
引き出せることがあります。
ただし、条件付きなので留意が必要です。
マイナス効率 プラスしかないはず!?
複式簿記は込み入っていてわかりにくい印象がある
と一般的に言われています。
否定できませんが、ちょっとだけ反論ができます。
加減乗除を中心にした「中学1年生」レベルの数学までで
理解できる計算だからです。
文字や記号はおろか、「マイナス」さえ出てきません。
むしろ勘定科目のマイナス残高が出現してしまうと、
処理のミスを疑うことになります。
(マイナス残高(笑)のどこが(笑)なのか?)
一方、意図的に「マイナス残高」を経理の効率化につなげる
といった発想があります。
マイナス効率 非公式だか選択可能!
学習上の簿記と実務上の簿記では運用面での違いがある
ということもあります。
たとえば、「預り金」勘定の処理。
貸借対照表の負債に計上される勘定科目です。
給与の計上や顧客が負担する処理で使われる科目です。
損益には直接関係せず、お金の通過過程を示す
といった処理で使われることがあります。
具体的には、車の車検での自賠責保険料。
顧客が直接保険料を支払うといった処理ではなく、
- 車検整備先が
- 顧客から受け取った金額から支払う
という処理が一般的です。
「顧客から受け取った」が「預り金」勘定となります。
- (借方)お金 (貸方)預り金 自賠責保険料分入金
車検整備先が支払うことで「預り金」が相殺されます。
- (借方)預り金 (貸方)お金 自賠責保険料分支払い
上記の処理を「預り金」ではなく「支払保険料」勘定で
処理することもできます。
- (借方)お金 (貸方)支払保険料 自賠責保険料分入金
- (借方)支払保険料 (貸方)お金 自賠責保険料分支払い
入金と支払いで「支払保険料」勘定が相殺されてしまうので、
処理の結果は「預り金」使用時と同じです。
入金の処理時点では「支払保険料」がマイナス残高
と見慣れない状況となります。
処理の優劣というよりも利用者側の判断で選択可能
ということができます。
マイナス効率 条件をご存知ですか?
「預り金」勘定での処理をあえて「支払保険料」勘定で行うと、
入金時にはマイナス残高が生じます。
通常の処理では現れない状況なので注意が向きます。
反面、誤処理や処理の漏れや遅れが重なると
帳簿がカオスとなります。
効率的に利用できそうな処理であったとしても、
誤処理や処理の漏れや遅れは自動的には防げません。
また、決算時点でマイナス残高を放置すると、
適切な損益を損ないます。
適宜・タイムリーな処理の実行を続けることや
会計処理の妥当性が確保されている条件付きです。
マイナス残高が現れる会計処理が効率的なケースもあります。
ただし、無条件ではないので注意が必要です。
蛇足
「マイナス残高」の勘定への違和感があるかどうかも
会計リテラシーかもしれません。
時代やツールの変化と無関係なリテラシーの一つです。
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